17歳の悪魔

□12 シカク
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「おかえり。」

家に帰ると、ふぶきは寝転がってマッサージをしていた。
荷物が重いと言っていたし、肩だけでなく節々がこるんだろう。

「ああ、ただいま。」

俺はあまりそちらを見ることもなく手に持った夕飯の材料を床に置くと、それらを冷蔵庫に入れていく。

彼女は軽くシャワーを浴びた後なのか、夏らしく襟首の開いたTシャツに短いショートパンツをはいていた。
そこから覗く白い鎖骨と細くも程よい肉感のある太ももに、また昨日の情景が思い出され少し頭を抱える。

「何買ってきたの?」

「ん…ああ、今日はすき焼きだ。」

俺自身はあまり味の濃いものは好まないのだが、彼女には栄養が必要だろう。
そう思っての選択だったのだが、彼女は何故か不思議そうに俺を見ていた。

「どうした。」

その様子に率直に尋ねると、彼女は妙にそわそわし始める。

「あ…いや、すき焼きなんて食べるの初めてだと思って。」

そう言った彼女は少し恥ずかしそうに目を伏せていて、その姿はとても年相応だった。

そういえば彼女の実家は裕福ではなかったな。
この様子から見るに、あまりいいものを食べさせてもらえなかったのだろう。

そんな彼女の姿を珍しく思いながらも準備をして鍋を机に置くと、彼女はキラキラとした瞳でそれを見つめた。
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