17歳の悪魔
□7 ギワク
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やはりどうにもおかしい。
あの後俺はまた冷静になって例の件について考えてみたが、どうしても疑念を持たずにはいられなかった。
何か納得のいかない蟠りを感じるのだ。
確かに恋人がいるのに年下の高校生に手を出してしまったという事実が信じ難く、こうして未だ未練たらしくあれこれと考えてしまうのだろうが、それ以前に不可解なのだ。
「あ、蓮二さんお帰りなさい。」
夏のにわか雨に襲われ外から帰ってくると、いつも通り出迎えてくれるふぶき。
そんな彼女はにこにこと少女らしい笑みを浮かべており、あんな出来事などなかったかのようだ。
というより、むしろ以前よりも距離が近くなっている。
「雨降ってたでしょう?あれ、でもあんまり濡れてませんね。」
「ああ、傘は常に常備している。」
そう言うと彼女はむぅっと頬を膨らませた。
「折角タオルとか用意して待ってたのに。」
そんな彼女の手には言葉通りタオルが握られており、世話が焼きたかったのだろう。
その様子を愛らしく思うも、同時にやはり日に日に俺に対して彼女が距離を詰めているように思える。
あの出来事があって逆に俺から距離を取るのならわかるが、何か俺に懐いているような素ぶりに俺は少し困惑しつつも、疑念を抱いていた。
「タオルは貰っておく。」
しかしそんな彼女を邪険にするわけにもいかず、しょんぼりとする彼女の手からそれを受け取ると、パァッと嬉しそうに顔を輝かせる。
部屋に戻れば、彼女は台所に立って何やら準備をし始めた。