夏のラナンキュラス

□3 winner
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真田が負けた。

それもかなり衝撃的なことだったが、それよりも全員の頭の中をしめていたのは別のことだった。


いま、見えたよな…?


彼女は体育着を持っておらず、制服でプレイしていた。

彼女が高く飛び上がり、上空から強烈なスマッシュを放ったときに…

スカートの中が、見えた。


「わ〜い、わたし勝ったよ!ボウシくんの負け!というわけでわたし入部していいよね?」

女の子のスカートの中を見てしまったことから気まずい空気が流れるのをよそに、少女はぴょんぴょんと飛び跳ねながら幸村を見た。

「…ああ、そうだね…」

言いづらそうな幸村にかわって、ジャッカルがこれまた言いにくそうに口を開く。

「おいお前、その、見えてたぞ…。」

ジャッカルが少女のスカートを指差すと、彼女はこてん、と首を傾げてスカートを見た。

「みえた?」

「その…中が。」

「あ、パンツみえちゃった?」

彼女の率直な物言いに、男性陣に再び気まずい空気が流れた。

「え〜、わたしきょうそんな変なパンツはいてなかったはずだけど。なんか変だった?」

いや、お前が変だろ…
なぜもっと気にしない。

眉を八の字にしてそんな見当違いなことを言う少女に、全員がそう感じていた。

「制服で試合するのはおすすめしませんよ。その、我々が見てしまったのは不可抗力ですので…お許しください。」

柳生がそう言えば、少女はうん、いいよ〜と軽く答え、さほど気に止めた様子もなく、再び幸村のほうに向かった。
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