夏のラナンキュラス
□7 sunny
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とはいえ、そんな彼女もだいぶテニス部の中に馴染んできてるのである。
たとえばこんな朝。
心地の良い日差しを浴びながら、清々しい朝をみんな目標を同じくして登校していた。
そんな中、その合間をぬうようにして、軽い足取りで跳ねるように歩く少女。
その目に朝日よりも輝くものが映った。
少女はどんどんとその背中目掛けて、足取りを加速させていく。
「に〜たま〜ごくんっ!きょうもかがやいてるね!」
後ろからどんっと鈍い音がして、彼は前のめりにバランスを崩しながらも振り向いた。
「うぉっ!…って天道か、なんだよ煮卵って…。」
「よくアジがしみてるね。」
くるみがジャッカルの頭をペチペチと叩く。
「俺は卵じゃねぇよ…。まったく、お前は相変わらずだな。」
「よっ、くるみ!今日もテンション高ぇな!」
頭をかくジャッカルの隣には丸井の姿。
少女はそちらに顔を向けると、あげた手をブンブンと振る。
「おはよ〜、ブンちゃん!」
「おう!」
そんな2人の様子にジャッカルは少し目を丸くした。
「お前ら…いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
そう尋ねると、2人は顔を見合わせにやぁっと笑って肩を組む。
「じつはね〜、ブンちゃんとはまえばったりケーキ屋であったんだ〜。」
「そうそう、こいつもなかなかの甘党なんだぜ?な〜?」
「…なるほどな、そういう繋がりか。」
納得したふうなジャッカルの顔を少女はどこか険しいと感じとったのか、少し不思議そうにその顔を覗きこんだ。