夏のラナンキュラス

□17 cheer
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***


「この大馬鹿者が!」

氷帝から帰ってくるやいなや、くるみの頭に鉄拳制裁が落ちた。

如何にも痛そうな音を立てて落ちてきたその拳は一切加減がない。


「いたぁあああああ!」

くるみは頭を抱えてその場にうずくまる。

「うわっ…副部長容赦ねぇ。」

「一応女の子だぜ…。」

自業自得とはいえ、そんな彼女に憐れみの目を向ける赤也と丸井。

「天道さん、さすがにこれは反省してもらわないと困るよ。君のやったことは道場破りのようなものだからね。」

加えて幸村にも厳しい視線で窘められ、くるみは涙ぐみながらサッと柳の後ろに隠れる。

「天道、俺はお前を庇う気はないぞ。」

「えっ、わたしいわれたとおりにテイサツしてきたのに!?」

柳にも見捨てられるような口を聞かれ、くるみは驚愕の表情で彼を見上げた。

「お前のしたことは偵察とは言わない。」

「でもじっさいに戦ってきてどんなカンジかとかはわかったよ!?」

「約束もなしに急に押しかけて戦いを挑むなど、相手に失礼でしょう。我々はそう言うことを言っているのです。」

柳生も眼鏡を押し上げて、それを光らせる。

「いいかい、今後2度とこういうことをしないって約束できるね?」

幸村にやや威圧的に尋ねられ、くるみは柳の後ろに隠れたままコクコクと頷いた。

「…ごめんなさい。」

珍しくしおらしく項垂れる少女。

その様子に、みんな顔を見合わせると険しかった表情を和らげた。
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