夏のラナンキュラス
□18 absence
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そんなくるみの激励があってかは定かではないが、立海は無事県大会を戦い抜き出場校に選ばれた。
彼女も一応ベンチコーチとしてそれに参戦することを許され、異色を放ったのは言うまでもない。
こうして立海は全国への切符を手に入れて、今まで以上にハードな練習へ取り組むようになったのだが、ここ数日間少女は姿を見せないままだった。
「無断欠席とはたるんどる!」
彼に以前も叱られたばかりのはずだが、実際に彼女からの連絡は入っていない。
部長の幸村も真田の横で険しい顔をしていた。
「赤也、お前は天道と同じクラスだったな。何か知らないか。」
柳にそう尋ねられ、赤也がくるりと振り返る。
「さぁ、俺も何も聞いてないっすよ。あいつ学校にも来てないし。」
同い年で1番彼女との距離が近い彼が何も知らないもいうのなら、これ以上の情報は期待できないだろう。
「でも、くるみが無意味に部活をサボるとは思えないぜ。」
「ああ、あいついつも部活楽しみにしていたしな。」
丸井とジャッカルの言葉に、みんな大会に出るわけでもないのに誰よりも楽しそうに練習していた彼女のことを思い出す。
「学校も休んでいるとなると、もしかして体調でも悪いんでしょうか。」
「…なんとかは風邪をひかないっていうけどのう。」
紳士な柳生が心配そうに言う一方で、仁王がボソッと呟く。
「ですが、やはりこの状況では1番考えられるケースだと思います。」
柳生の言うことはもっともで、一般的な場合そう考えるのが妥当だろう。
だが、相手はあの少女だ。
健康の代名詞とも言えよう彼女が体調を崩す姿が想像できない。
そしてなによりいつも斜め上をいく彼女は、またなにか予測のつかないことでも起こしているのではとどうしても勘ぐってしまう。