スノードーム

□第2話
1ページ/4ページ




白雪姫を見かけて数日後。

僕は学校の図書館に来ていた。


多くの本に囲まれたこの空間はなかなか壮観なもので、大学に入りたての頃足繁く通っていたことを思い出す。
充実した図書館の存在は、僕がこの大学に入学した理由の1つでもあった。

当然最近も週に1度くらいは顔を出していて、大体の本の場所は把握済みだ。


ズラリと並んだ本の背表紙を歩きながら目で追っていく。
すると、“グリム童話”と書かれた何冊かの本に辿り着き、僕はそれに手を伸ばした。

目次を眺めて内容を確認する。
けど、なかなか目当てのものが見つからない。

何冊も手にとって確かめていると、隣に人の気配を感じた。


「探してるのって、これ?」

静かだけど鈴のなるような高い声。
心地よくて可愛らしい女性の声だった。

咄嗟に横を向くと、その姿に思わず目を見張る。

隣に立っていたのは、こちらに一冊の本を差し出した花城さんだった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ