スノードーム
□第9話
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その後ちょうど今日の授業数が同じだということで花城さんと帰ることになり、僕は彼女と2度目の帰路についた。
彼女はふわふわと跳ねるように、僕の隣を歩いていて不思議と気分が高揚する。
すると、ふと彼女は白い手を僕の腕へと伸ばした。
彼女はそっとその腕を掴み、僕は少し驚かされる。
「花城さん?」
特に反応のない彼女の名前を呼べば、彼女はパッと手を離して誤魔化すように笑った。
「あ、ごめんね。」
「いいえ、どうしたんですか?」
彼女は少し考えるような顔をすると、いつもの不思議な瞳で僕を覗く。
「あのね、さっき触ってみて思ったんだけど不二くんって何かスポーツやってるの?」
僕はその言葉にどきりとした。
「あ、スポーツやってる友達と感じがなんとなく似てるなぁと思って。」
そんな僕の反応に何を思ったのか、補足するように言う花城さん。
けれど何も言い出そうとしない僕を不思議に思ったのか、小首をかしげた。
「不二くん?」
今度は僕が名前を呼ばれてしまい、とっさに笑顔を取り繕う。
「ああ、今はやってませんよ。昔はやっていましたけど。」
「あ、そうなんだ。何のスポーツ?」
当然そう聞かれて、僕は少し言葉につまりつつもそれを吐き出した。