奥州物語

□01:巡り会うもの
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『小十郎…』


『後は、よろしく頼むね…』







夢の中で風に揺れる髪を抑え
振り返り言う女は

とても優しく微笑んでいた。








「……っ!!!」



勢いよく伸ばした手は
むなしく空を切り

見慣れた天井が広がる。



障子から差し込む光は男を照らし
上がったままの手は
ゆっくりと額の上に落ちる









「なんで今更……」





男の小さなその声は
静かな部屋に消えた。
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