ありいの短編集
□kiss×××
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今日は新曲のPV撮影。
それは深夜にまで続いて、自分の出番がくるまでひたすら待っていた。
「んっ…んぅ」
唇に生暖かい感触。
すぐにキスされてるんだなて理解した。
頭の中がグルグルと廻る。
どうして男の俺にキスしてるんだろうと言う疑問と、きっとメンバーのうちの誰かだということ。
柔らかな唇を押しつけられて、触れただけのそれは離れていた。
なんだか物凄く眠い…
俺は誰だか確かめる余裕もなく、また深い眠りに落ちていく。
夢でも見てたのかな…
確かに唇のリアルな感触が、残ってるような気がするけど。
意識が朦朧として、これが夢か現実だったかなんてはっきりとはしない。
「あれ、だいちゃんシャンプー変えた?」
「よく気づいたね」
それはもうだいちゃんは、嬉しそうに微笑んだ。
ここには俺とだいちゃんの二人だけ、他のメンバーは撮影中だと思う。
微かに残った密かなシャンプーの香り。
「ねえ…だいちゃん…俺にキスしてたよね?」
「ええっっ!!」
「声がでっ、けーし…びっくりさせないでよ」
「寝てたんじゃじゃないのっ!!」
だから声がでかいんだって。
焦りまくってるだいちゃんには、俺の声が聞こえないみたいだ。
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