short

□ネコになりたいの
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書店店員→伊野ちゃん
ファッションデザイナー→高木くん
barのマスター→知念くん






好きだの、


愛してるだの、


付き合ってる最中は、たくさん愛を囁いてきたのに。


なのに、それが、


重いて、束縛しすぎてウザイんだって。


俺だけ見て欲しいて思うのが何故悪い。


そんなの好きになったら、どうしようもないと思わない!?




「で、結局…また振られたてわけ?」

「う"っ…ぉれ…のどこに…不満があるんだよおおぉっ!!」




もう何度目かなる失恋。


あれだけ、尽くしたのに…


俺は恋人に捨てられるたびに、とある一軒のお店に通ってる。


いわゆる男達が集まるハッテン場、ゲイバーというやつだ。


「僕の奢りだから、これ飲んで元気だして」

「ありがとう…」


マスターは気さくで優しい人だ。


俺はそんな彼に、嫌というほど甘えてしまうのだ。


「失恋を癒やすには新しい恋だね…ほら、あの人が伊野ちゃんのこと見てる」

「ふぇ!?」


カウンター越しに感じる視線…


見るとそこには、あきらかにチャラそうなナンパな男が…


近づいてくる足音は、


俺の方へと向かってる…


「ひとりなの、一緒に飲まない?」


嘘…


離れて見てたから分かんなかったけど。


彼はなかなかのイケメンで、格好良いし、スタイルだって悪くない。


「この人失恋したばかりだから、慰めてやってよ〜」

「もうっ…マスター!!」


ニヤニヤしながら、マスターが俺を見つめていた。


バレちゃたかな、


俺が見惚れてたことに……


「じゃあ、俺が立候補しちゃおうかな?」


そう言ったチャラ男が、俺の隣りの席へ腰をかける。


ふわりと漂う香りが、鼻を擽る。


良い匂い…





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