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□どうして好きになったんだろう
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「なぐさめてよ…マスター」

「いいよ、俺で良かったら」


何も考えられなかった…


自然とマスターの男らしい手に触れて、重なり合った手を優しく包み込まれる。


ニヤリと笑ったマスターの顔が、挑戦的でゾクリとした。





「やめて貰えませんか。そいつは俺のもんなんで」





聞き覚えのある声に、後ろを振り向いたらそこには光が立っていた。


「なっ…なんで、光が此処にいるんだよッ!?」


乱れたままの服を見るからに、容易に慌ててきたのが分かる。


しかも此処はゲイバーで、光のようなノンケが来る場所じゃない。


「こいつは俺が連れて帰るんで、あんたに文句は言わせない」

「どうぞ、好きにしてください」


物凄い顔で睨みつける光を、マスターは余裕の表情で笑って見せる。


光に骨が折れるんじゃないかてくらいに腕を掴まれて、あまりの痛さに俺は悲鳴をあげた。




「ぃっ、ったい、痛いてッ! 離せよっ… バカッ!!」

「うるさいっ!!」


俺の抵抗も虚しく半ば引きづられるようにバーを出た。


何も言わない光が怖い。


「なんで、此処だって分かったんだよ?」

「だいちゃんが教えてくれた…それに、お前が危なかしいから気をつけろて」

「そうだったんだ…」

「恋人の俺より、お前のことよく分かってんじゃねえの」





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