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□絡み合う糸
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仕事中のだいちゃんは、傷つく姿なんて微塵も見せなかった。


プロとして貫き、最後まで明るい笑顔を崩すことなく


レギュラー番組の収録は終了した。




「お疲れさまでしたぁ〜」




番組が終了したと同時に、俺はすぐにだいちゃんのもとに駆けつける。




「だいちゃん…」




俺はだいちゃんの服の裾を、ギュッと掴む。


一瞬だけど、だいちゃんの顔が悲しそうに見えた。




「俺は…大丈夫だから…。伊野ちゃんがそんな顔しないで」




そう言っただいちゃんは、俺の頭をポンポンと撫でる。


気を遣わせちゃた…。




「ねぇだいちゃん…美味しいご飯食べに行こ!もう俺…お腹ペコペコなの」

「それ伊野ちゃんが行きたいんでしょ」

「へへ、バレた?」

「しょーがないなぁ…伊野ちゃんの奢りだよ」

「もちろん!」




だいちゃんの笑顔が見れて、ちょっとだけ安心した。


俺は男でだいちゃんに、恋愛対象としては見て貰える可能性なんてないけど。


だったら俺は、だいちゃんを癒やしてあげられる存在になりたかった。




「どうした?伊野ちゃん。はやく行こ!」

「うん!」





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