*ヴィジュアル系*

□眠り姫
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たまたま寄った本屋で童話の絵本を見つけた
なんとなく読みたくなって買ってみた


「眠り姫」



「何読んでんの?」
「眠り姫〜ちょっと懐かしくない?」
「名無しさんがそうゆうの読むって珍しい」

眞弥が本を覗き込んできたけど
少し幼稚な絵柄は苦手らしくすぐに顔を引っ込めた

「昔ってさ、こうゆうの保育園とかで読んでもらっててさー、あ、家にも本はあったかも」
「ふーん」
「眞弥は?そうゆうの覚えてないの?」
「うーんあんま覚えてない」
「たまに読むと面白いよ」
「作詞で字を見てるだけでもう勘弁」
「…あっそ」


夢の無い奴め、と眞弥の背中を睨んだ

ソファーに座りページを捲る
悪い魔法使いに呪われ、糸車の針に刺されて眠りにつくお姫様

王子様のキスで目覚めてめでたしめでたし

大人になって読むと幼稚な物語だけど

「こうゆう展開って憧れるよね」
「そうかぁ?」
「王子様にキスで起こされるとか最高じゃん」
「名無しさんは姫にはなれねぇし王子と結ばれる程地位は高く無いだろ」
「…眞弥のそう言うとこきらーい」


そんな現実的な話をしたいわけじゃない
ただ、この絵本の感想を言っただけなのに

「どうせ姫になんかなれませんよーだっ」

眞弥の現実的発言にヘソを曲げたあたしは寝室へ篭った

「なぁんであんなに冷たいかねぇ…」

彼女がそうゆうのに憧れてたらちょっとはノッてくれたっていいのに

ベッドにダイブして目を閉じた

夢の中の眞弥は王子様だったらいいのに
白タイツは勘弁だけど






深い眠りに落ちていた
何の夢を見てたかは分からないけど

くすぐったさに目が覚める


「あ、起きた」
「ん…眞弥…?」
「やっぱキスで起きるんだ」



薄く目を開けると眞弥がいた
頬と唇にキスを落とされる



「な、に…?」
「本当にキスで起きるのかなって試した」
「…王子様ってキャラじゃないじゃん」
「名無しさんだって姫じゃねぇよ」
「ん…でも起きれちゃった」
「試してみるもんだな」



糸車の針で眠りに堕ちた眠り姫


王子様のキスで目覚める眠り姫



「あたしの王子様は眞弥なんだね」



王子っぽくはないけど

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