song

□Get Naked
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夜。

街灯りで星の見えない空の下、

独りでさ迷う。


とんっと誰かに肩がぶつかる。

あぁすまない、と振り返ると虚ろな目をした女がひとり。

ゆるく巻いた髪が揺れる。

「……ごめんなさい」

そのまま去ろうとする彼女の腕を、

俺は無意識に掴んでいた。



「あの、森田剛さん……、ですよね」

隣に座る彼女が聞く。

「あぁ」

俺は軽く頷く。

すぐそばにあった地下のバーで、彼女にカクテルを奢っている。

「……森田さんは、お酒飲まれないんですか?」
あぁ、ともう1度頷く。

彼女はそれ以上、何も聞かなかった。



何故この女を引き止めたのか、俺にもはっきりとはわからない。
同じ匂いがしたからか。ただいい女だったからか。

そうかもしれない。

ただ、惹かれた、それだけはわかる。



俺に奢られた彼女は、一歩後ろをついてくる。

「なぁ」

「……はい、なんでしょう」
女は掠れた声で答えた。

「なんでこんなとこで、こんな時間にひとりで歩いてたの」

女は黙った。


これ以上は踏み込むなということか。

それもいい。
それでいいだろう。
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