STORY

□薮が猫でも嫌いなんです ☆★
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「俺を、拾ってくれませんか?」

「は?」

会社の帰り、いつも通る道に新しくできたペットショップがあった

少し見ていこうかな、なんて思いながら入ろうとした時いきなり声をかけられた

ついつい出てしまった、マヌケな声に八乙女はハッとしながらも声の主に目をやる

夜で、人通りが少ないという事もありすぐに誰の声なのかが分かった

「えっと_」

「俺を飼ってくれませんか?」

この人は大丈夫か?それが彼への第一印象

八乙女より高い背に少し、男のような体つき
でも、頭には可愛らしい耳なんてつけて、周りからすればただの変質者

いや俺からしても変質者

「いや。は?え」

「俺、猫なんですよ」

「どうなされたんですか?」

表情をコロコロと変える八乙女と比べて、冷静沈着に笑顔を突き落とす彼。

その笑顔はフニャと爽やかで優しい

「ペットに興味があるんでしょ?」

「ま、まあ」

「だから、動物の代わりに俺をペットとして飼って下さいよ」

これが、薮との出会いだった_
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