STORY
□薮が猫でも嫌いなんです ☆★
1ページ/8ページ
「俺を、拾ってくれませんか?」
「は?」
会社の帰り、いつも通る道に新しくできたペットショップがあった
少し見ていこうかな、なんて思いながら入ろうとした時いきなり声をかけられた
ついつい出てしまった、マヌケな声に八乙女はハッとしながらも声の主に目をやる
夜で、人通りが少ないという事もありすぐに誰の声なのかが分かった
「えっと_」
「俺を飼ってくれませんか?」
この人は大丈夫か?それが彼への第一印象
八乙女より高い背に少し、男のような体つき
でも、頭には可愛らしい耳なんてつけて、周りからすればただの変質者
いや俺からしても変質者
「いや。は?え」
「俺、猫なんですよ」
「どうなされたんですか?」
表情をコロコロと変える八乙女と比べて、冷静沈着に笑顔を突き落とす彼。
その笑顔はフニャと爽やかで優しい
「ペットに興味があるんでしょ?」
「ま、まあ」
「だから、動物の代わりに俺をペットとして飼って下さいよ」
これが、薮との出会いだった_