STORY
□風吹きチェリーブロッサム
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ねえ、ずっと好きだった
そう言ったら、大ちゃんは困る?
「なあ、山田」
そんな気持ちも知らないで、大ちゃんは俺の背中に頭を擦り付けてくる
「なんだよ、大ちゃん」
「次の撮影まで暇〜」
「伊野尾ちゃんは?」
ずっと知念とやっていたゲームを中断すれば、顔を上げ振り返った
勢いよくペチンと頭を叩いてやれば「いって〜!」なんて大きな声で叫んだ
無駄に、声を楽屋に響かせれば他のメンバーも耳を塞ぐ
「伊野ちゃんは、スタッフと話してる」
口を尖らせて言う姿は、子供のようで可愛らしい
ドキッとする胸を押さえつけて、いつも通りの対応をしようと頭を振る
グッと頬を摘んでやれば「ぶっさ」と憎まれ口を叩く
そうしないと、気持ちが抑えられないんだ
「山田、冷たいの」
「いつも俺はこんなんですよ」
摘んでいた手を離すと額を指で押した
近くにある手
その手を握れたら、俺はどれだけ幸せなんだろう
俺なら、幸せにしてあげる
そう言ってやりたいけど、大ちゃんの隣には伊野ちゃんがいるんだ
___『俺、伊野ちゃんと付き合う事になった』
その言葉、本当は聞きたくなかった
だけど、俺は大ちゃんにとって1番の親友だもんね?
だから、笑顔で返さないといけないんだよな?
ごめん。大ちゃん、好き