STORY
□郵便物は有岡です ☆★
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ゆっくりではあるけれど、伊野尾1人では運べない重い荷物を持って入っていく
「こちらでいいですか?」
「はい」
テーブルに箱を次々と置いていく。その手際はなかなかのもの
「この仕事、結構長いんですか?」
不意に伊野尾が聞けば、有岡は驚いた顔をしたがすぐに笑顔に戻る
「そうですね。うーんっと、3年ぐらい?」
「3年!長いですね」
「全然、3年なんて新人ですよ」
頭をかき、恥ずかしそうに言う姿がまたどこか男っぽく見える
でも、笑う姿は可愛く、わけが分からない
気がついたら、伊野尾は心のどこかで彼を求めていた
「じゃぁ、ここにサイン下さい」
「あ、はい」
そう言って差し出された紙。その紙を持つ手は細くてでも、ゴツゴツしていた
癖なんだろう、眉なんか下げちゃって俺の理性をくすぐる
「可愛い顔してるんですね?」
「え?」
「襲いたくなっちゃいます」
「は?」
その言葉に目を見開く有岡くん
逃げようと一歩下がる彼だが、時すでに遅し
「ちょっと!離して、」
伊野尾は彼の手を掴むと、唇を重ねた
そのまま腕を引っ張ると、ふかふかのソファーに勢いよく押し倒した
「やめて、ください」
だんだんと目の色が、濁る彼に興味を持った
こんなにも純粋そうな人を自分の手で壊せるなんて機会、滅多にないから
「可愛いです」