STORY
□僕は明日、偽りな君に恋をする ☆★
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「あの!これ、落としましたよ」
「ほぇ?」
出会いは突然だった。それは、後になって気づくんだけどね
でも、今はただのすれ違う人の一人なんだと思っていた
何かを差し出す手は、自分よりも小さい。でも、男の子みたいに骨が出ていてゴツゴツしている
前髪に隠れて少し見えずらい目だけど、クリッとしているのがよく分かった
「えっと」
「あ、さっき一緒にいた人が落としてました」
「光が?」
マフラーに見え隠れするその唇は、特徴的に動く。それをどこか目で追ってしまう
変態だろうか…
「あ。でも、その人を追いかければ良かったですよね!ごめんなさい」
「へ?あ。いえ。渡しときますよ。ありがとうございます」
「でも、」
「明日も会う約束しているので」
「本当ですか!だったら、お願いしようかな。ありがとうございます」
たくさんの防寒具によって少し隠れてしまっている顔だけど、ニッコリと笑のは分かる
その姿は今までに見たことがないほど可愛くて、どこか幼く感じた
手を差し出し、落とした物を受け取る
それは、小さなキーホルダーだった
あ。これ、光が恋人から貰ったって自慢してきた物だ
「ありがとう。光もこれ落としたら困る物だったから、喜ぶと思うよ」
「そうですか?良かった、」