キミを離せない
□キミを離せない〜11
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〜彩side〜
立ち尽くすしかなかった。
あんなふうに私に対して怒鳴ったことの無い夢莉が、今までの秘めていた思いをぶちまけた。
…夢莉にバレてたなんて知らず、のうのうと生きていたのが恥ずかしい。
私が夢莉を守ろうと、守れると、思っていた行為は逆に夢莉を傷付けてしまったんだ。
壁の隅に置かれているゴミ箱に少しはみ出た形で捨てられたネックレス。一ヶ月記念に夢莉がプレゼントしてくれたものだ。嬉しかった。夢莉が記念日を気にして、私のことを考え、私のために買ってくれたこのネックレスが宝物だった。
でも、それが今では無惨にも捨てられている。…胸が痛い。
最初から間違っていた。美優紀にキスの写真を撮られた時。あの時から全てが変わった。美優紀の言いなりになんてならなければ良かった。
キスの写真を見せられるより、美優紀と身体の関係を持ってしまったこと、これが何より夢莉のことを傷つけるのに………なんで…気づけへんかったんやろ…
ゴミ箱の奥底に落ちているものを拾う。手が震えた。…冷たい。手に伝わる冷えきった温度が、心を虚しくさせる。
拾ったってどうにもならないのに。
このまま捨てておけないのが憎らしい。そして、自分のポケットにしまい込んだ。
自分のネックレスはこのままにしておこうか…?外してしまったら、本当に夢莉が消えてしまいそう。だから、、、外したくない。だけどそれは自分勝手な考えで。今となっては何の関係もなくなってしまったのに、まだしがみついているのかと…夢莉に叱られそうや。
そっと自分の首の後ろに手を回し、カチッと繋ぎ目を外した。それと同時にそれはするりと滑った。そのまま床に落ちる。
カンッシャラン
まるで私の手元から逃げたようだった。私の手の中にはいたくないって言われたみたいで…拾うのに勇気を要した。
夢莉とこのままでいいんやろか……誤解されたまま、と言っても間違った解釈はされていない。ただ、その間に…美優紀に脅されていたか、いなかったか…自分の意志だったのか、そうじゃないのか。それが割り込んでくるだけなんやけど。
それでも、私は伝えたい。
美優紀との間で何があったのか。
どうしてこうなったのか。
私が誰を好きなのか。
ちゃんと夢莉を愛していたこと。
そして、
まだ夢莉を愛していること。
このままにしておくのは耐えられへん。
私はすぐさま携帯を取り出し、夢莉にメッセージを送った。
〔ごめん、ちゃんと話したい。連絡をください。待ってるから〕
だけど、既読をつくことも、返信がくることもなかった。