キミを離せない
□キミを離せない〜2
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〜彩side〜
さっきまで私は美優紀と話していた。
けど、今私が抱きしめているのは恋人の夢莉。
愛しい、愛しい大切な人。
告白してくれた時、私も夢莉のことが好きやった。
美優紀とは、ライバルみたいな関係で正直、あまり仲は良くなかった。
やけど、私と夢莉が付き合い始めて2ヶ月目くらいやろうか、、
美優紀が頻繁に私を遊びに誘うようになり、楽屋でまでも私に引っ付いてきた。
一体何事かと問い詰めてみたところ、
美「私な、彩ちゃんのことが好きやねん」
そう言われた。
突然のことで驚きしかなかったし、なにより私には夢莉がいた。
彩「急に何言ってんねん。…そういう冗談やめろよ」
美「嘘じゃないねん!…わたし、わたし、ずっと彩ちゃんのこと好きやってんもん」
前までそんな素振りなかったやん。
彩「……急にどうしたんよ」
美「…信じてくれへんの?」
彩「いや、そういうわけやないけど。でも、私には夢莉がおるし」
美「…じゃあ別れて」
彩「は?何言ってんの、無理やし」
美「…なんで?なんで無理なん。私のこと好きじゃないん?」
彩「好きやけど、、そういう好きじゃないやん」
この時はこの会話で終わった。
分かってくれたんかなって思ったけど、美優紀は全然分かってなかった。
さっきやって、私は夢莉ところに行きたかったのに、美優紀がそうはさせてくれなかった。
至近距離で話してくるし、突然ほっぺにキスしてくるし…
夢莉に見られたらどうすんねん。ハラハラでしかなかった。
美優紀と話しながら夢莉のことをチラチラって見てたけど、夢莉は私のことなんか見ないで、音楽を聞いていたり、梓と話していた。
少しくらい嫉妬してくれとってもいいのに…
ほんまに夢莉はツンデレやな
美優紀の話は右から左へ。私の頭の中は夢莉でいっぱいやった。
告白してくれたのは向こうやけど、ちょうど私も告白したいなって思っていた時やったから、嬉しくて嬉しくて。
あまり夢莉から甘えてくれることは無いけど、一緒に帰ったり、時には私の仕事が終わるのを待っていてくれたり…
ちゃんと私のこと好きなんやなって感じるから、それだけで私は充分やった。
美「ねぇ、彩ちゃん!ちゃんと話聞いてる?」
彩「ぅえ、あ。…ごめん」
美「もう、ちゃんと聞いてや!それでな、」
美優紀は私のことなんかお構い無しに、話し続ける。
とにかく今すぐに腕を組んでいるその手を離して頂きたい。
早く夢莉のところに行きたいんや。
夢莉は今は梓とイヤホン半分こにしちゃって、しかも頭を大人しく撫でられている。
こんなところで美優紀と話してる場合ちゃうねん。
私は美優紀の腕をゆっくりと解き、夢莉のところに行こうとした。
やけど、美優紀はそれを拒んだ。
腕にあった手を今度は腰に回してきた。そして、ぐいっと引き寄せてきた。
さすがにこれはやばいと思った私は小声で美優紀に言った。
彩「ちょ、楽屋でこういうことすんのやめろって」
美「じゃあ楽屋じゃなかったらいいん?」
彩「そういう問題でもないから」
美「だって仕事終わったらすぐに夢莉ちゃんと帰っちゃうやん」
彩「当たり前やろ。付き合ってんねんから。……夢莉のとこに行ってくる」
美「待ってや」
まだ腕を掴んで来たから、私はそれを振りほどく。
美「行くんやったら、今日は帰らんといて」
彩「…はぁ?」
美「話したいことがあんねん」
…話ってなんやねん
美「わかった?待っといてや?」
美優紀は私の返事を待たずにどっかに行ってしまった。
…私もちょうど注意しようと思ってたから、良い機会かも。
夢莉には悪いけど、今日は帰ってもらおう。
そんなこと考えながら、私は夢莉のところに向かった。
彩「梓、ちょっとそこ変わってくれる?」
夢莉の頭を撫でる梓にそう問いかけた。
梓はさっとどいて、すぐに譲ってくれた。
ようやく夢莉のところに来れたわ。ったく、美優紀もほどほどにして欲しいわ。
夢莉は私が来たにも関わらず、全然こっちを見てくれない。