キミを離せない
□キミを離せない〜2
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彩「何聴いてたん?」
そう尋ねても、
『…別に』
声のトーンと態度で丸わかりや。
これは怒ってるパターン。
夢莉はずっとスマホを触り続けている。近くに私がいるのに、スマホばっかり。やけど、内心私と話したいって思ってくれてるんやんな?
彩「夢莉、拗ねてんの?」
そう聞いたら、即答やった。
『拗ねてないし』
彩「嘘だ〜。絶対拗ねてる。私がそばにおらんかったからやんな?ごめんな?」
いじけてる夢莉が可愛いと思ってしまうのは私が心底夢莉に惚れているから。
『…みるきーさんのところにでも行けばいいじゃないですか。なんで来たんですか』
冷たい声やけど、寂しがってるようなそんな風にも聞こえる。
やっぱり美優紀とのこと、気にしてくれてるんや。
彩「ごめんやん。…そんなに怒らんといて?」
そう言いながら夢莉の頭を優しく撫でると、夢莉はほんの少し頬を赤く染めた。
こうやって近づくだけで夢莉は恥ずかしがって照れてしまうんやから、可愛すぎるやろ?
それでもまだ完全には許していないみたいやから、
彩「…何したら許してくれる?」
こう言って夢莉の機嫌をなおしてみる。
すると、夢莉は思いがけないことを言ってきた。
『…ぎゅってして』
っっっっッ!?
……え?!
聞き間違い?
やってあの夢莉がこんなこと言うなんて考えられへん。
彩「……え、?」
ほんまに言うてる?
確認のつもりで聞いたけど、
『……早く』
小さな声やったけど確かに聞こえた。
も〜〜〜
ほんまに心臓に悪い。
彩「ふふっ、わかった」
私は動揺を頑張って隠して冷静を装った。
ここ、楽屋やで?
人に甘えるとか全然しないような夢莉がそんなこと言ってきてくれるなんて…
相当嫉妬してたんやな。
自然とにやける。
彩「どしたん、今日は甘えたさんなん?」
そう言ったら、返事はなかったけどその代わりぎゅーって抱きついてきた。
なんやそれ
反応、可愛すぎるやろ
もちろん、こんなにも堂々と楽屋で抱き合っていたら、メンバーは騒がないわけなくて…
三田「ぎゃぁぁぁぁぁ。イチャイチャしてる〜!?」
東「写真♪写真〜♪」
綺麗にメンバー全員の写真フォルダに私たちが入りこんでしまった。
なかなか離れてくれない夢莉の頭を撫でながら、今しかないかなと思って、今日は帰れないということを伝えた。
彩「…あのさ、夢莉。今日仕事入ってしまったから一緒に帰れへん」
『あ、…そうなんですか』
また夢莉の声のトーンが下がった気がする。
彩「一緒に帰りたかった?」
そうやって聞くと、
『聞き方ずるい…』
ぷくっと頬を膨らませてそう言ってくる。こういう時の夢莉はとことん可愛い。
彩「なぁ、どうなん?」
『そりゃ、、帰りたかったに決まってるじゃないですか…』
彩「ふふーんっ」
デレが見れた時の高揚感といったらたまらん。
彩「ごめんな、また次は絶対一緒に帰ろな」
『無理しないでくださいね』
ちゃっかり労いの言葉をくれるあたり、夢莉の温かさを身に染みて感じる。
…こんなに愛しい彼女にもう寂しい思いをさせたくない。
やっぱり、ちゃんと美優紀に言わなあかん。
私には夢莉しかおらんのやって。