新・マジすか学園5

□第二話
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〜アントニオside〜




フード野郎が女やった。



この衝撃が大きすぎて、動けないでいた。





振り上げた拳もいつの間にか、ゆるゆると降ろし…じっとそいつの顔を見つめている。






……女




信じられなくて、私は思わずそいつの胸を鷲掴みしてしまっていた。



ムギュっ


…ふくらみがある。




ダボダボのパーカーを着ているから、全く気づかなかった。



ホンマに…女や




女…






そう、これに油断していたんだ。






いきなり視界がぐらっと揺れた。





えっ…






ドサッ




ちょ、、え





そいつは私を押し倒し、私の上に跨った。




これだけならまだ分かる。



私やって同じことをした。





やけど、そいつは…






ア「んっ…!」





キスしてきたんや。





思わぬ出来事に、咄嗟に反応ができなかった。




やから、いきなり舌を差し込んできたことに対応出来へんかった。



そいつは私の舌を絡めとり、口内を舐め回す。

これでもか、というくらい丁寧にゆっくりと動かされる。

そして、くちゅくちゅといやらしい音が口元から漏れる。




ア「…や、…んぁ」


私の口からも、聞きたくない甘い声が出ている。



…なにこれ


口の中ってこんなに敏感だったのかっていうくらいに刺激を感じて、意識が飛びそう。つい身をゆだねてしまいそうになる。


反抗しようとするけど、力強く肩を押されている上に、感じたことのない快感が私を襲って力が出ない。



上手く息継ぎが出来なくてだんだん苦しくなる。


それでもそいつは、キスをやめようとしない。



酸素をとりこもうと、肩を荒々しく動かすけど、十分な量の酸素は入ってこない。




そいつの身体をトントンって叩いて、助けを求める。




ア「ふぁ…ッ…ぁ、ん」



すると、やっと離してくれた。


銀色の細い糸が私とそいつを繋いでいるのが一瞬見えた。




ア「はぁ、はぁ」



精一杯酸素を取り入れる。



そいつの目は私のことをしっかりと捉えていて、捕まえられたように身体が動かない。




ア「急にっ、なにすんねん」



そいつの視線に耐えられなくて、私は言葉を発した。





『逃げろって言ったのに』


表情を変えずに、そう言ってきた。



ア「このままおずおずと帰るんは嫌やねん」


『気の強い女やな』


ア「悪かったな」


『ふっ…まぁ、一回忠告はしたからな。

どうなっても知らんで』




その言葉に背中がゾクッとした。



『何されても、文句は言えんよな?』



ニヤッと笑ったそいつは、こんな状況で言うのもなんやけど……どこか大人っぽくて、ドキッとした。




抵抗することを忘れていると、耳をペロっと舐められた。




ア「ひゃッ」



はむはむと耳たぶを噛まれる度に、肩がピクっと動いてしまう。



『…名前は?』



耳元で低い声で囁かれて、一際大きくビクつかせてしまった。



ア「んっ…ッ」




こんな奴になんで教えなあかんねん




絶対教えてやるもんか、と口を閉ざす。




それを見て、そいつは舌を耳の中に入れてきた。



散々弄られていたからか、ヌルッとした感触に大きく反応してしまった。


チロチロと舐められて、抑えようとする声もそのまま漏れていく。


私ってこんなに耳が弱いのかと自覚させられる。



ア「やッ…」




不思議なことに力が入らない。


私の力が弱いのか、はたまたコイツの力が強すぎるのか…



分からないが、確かなことは


今、私はコイツに溺れているということ。



見たことも話したこともなかった赤の他人に、こうやって襲われているけど、


コイツが与える快感ほど気持ち良いものを感じたことがない。



抵抗する術が分からへんねん…





すると、微かに足音が聞こえてきた。



コンコンコン…




その足音に反応したコイツは、サッとフードを深く被った。




やってきたのは、さっきまでここにいたあの男だった。




陣山「おぅおぅ、相当楽しんでるところ、悪いんですが、若のお父様がお呼びになっていましてね」



『チッ』



陣山「早急に来るようにと」



そいつは起き上がって…



『分かった』




その声色からすると、コイツはかなりお父様のことを嫌っているように思える。



そっと私から離れたフード野郎は、ゆっくりと外へ出ていこうとする。




陣山「あ、あの女はどうでした?」



あの男が変なことを言う。




『ふふっ、気に入った』


陣山「おぉ、そうでしたか。それは何より」


『アイツに手ぇ出すなよ?』


陣山「えっ…?」


『アイツは俺の女や』





は?


そんなこと聞いてへんで




ア「勝手に決めんなやっ」


『拒否権はない』




…即答




陣山「…じゃあ、どうしますか」




フード野郎は私を見て言った。





『来い』


ア「は?」


『ついてこい』




え、なんで?




陣山「おい、さっさと来んかぁ!」
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