第一部 … voyage

□ローグタウン
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「ほぉら、見えてきたわよ!あれがローグタウン!」

ナミの一声に、甲板でサンジのお手製お昼ご飯を食べる全員の手が止まった。白くて綺麗で、長い指が指し示す方向へ目をやると島が見えた。大きな島だ。きっと沢山のお店があって、盛んな街なんだろうなぁ。どうしよう、着いたらナミとお買い物したいな。あ、でもルフィと一緒に死刑台を見に行くのもいいかもしれない。そんな淡い楽しみを思い浮かべる反面、ここで皆とはお別れ、不安と焦燥が濃くなる。この間、サンジはああ言ってくれて殆ど気持ちは決まった。けど、自分から仲間になりたいなんて言えないし、図々しいにも程がある。そして仲間になったところで、こんなに弱い私がこれから過酷な旅を送ると分かっている一味にお世話になって、お荷物になるなんてと考えると、つきんと胸が痛む。何も出来ずに、守られて、負担になるのは嫌だ。
でも、だけど、嫌だと言った時点で何にも変わらなくて。やっぱり下りようかなぁと一度決めた決意をまた、揺らがせていた時には、皆は船を止める用意をしていたので慌てて後に続いてお手伝いをする。考えたくない事から目を背けて保留にするの、結構悪い癖だなぁ。

「わ、大きな街…」

「なぁなまえ!一緒に死刑台見に行こーぜー!!」

こんなに大きな街なら働かせてもらえる所も結構ありそう、なんて船を下りる方向へ決意を傾けていた途中、原作でも死刑台に向かうルフィから声を掛けられた。あれ、でも確か、死刑台って、…バギーとアルビダが来るんじゃなかったっけ?それに、海軍も。大きな騒動が起きる場所に自分から行くなんて真似は出来ない。したくない。それに私は働かせてもらえる場所を探さないと…

「あー…私はその、遠慮しようかな、」

「行くぞーっ死刑台!!」

「えっ、わ、うぎゃあっ!!」

断る私に目もくれず、既に手首は掴まれていて。状況を理解する間もなく引っ張られ、体は死刑台へ向かっていた。

「今回だけはルフィの行動に感謝だ」

「そーね。なまえってば絶対働く場所探しに行こうとしてたわよ」

「あんな乱暴に引っ張りやがって、船に戻ったらぶん殴らねぇとな」

「んま、ルフィと居る間は彼奴が船を下りる事考える余裕はねぇってこったな」

そんな会話が残りの人達で述べられているなんて、私はこれから先、ずぅーっと知る事はない。
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