魔法使いの旅
□湧いた疑問
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ダン「そーいえばさ、クレナイの師匠って、帰ってきた?」
クレナイは師匠に親に捨てられた所を拾われて育てられた恩がおる。
しかし、師匠はクレナイが5歳の時に突然姿を消した。
クレナイは仕事がてらいろいろなところを回り師匠をさがしているのだ。
ク「ううん、情報も全くなし。」
ア「だいたい、名前も言わなかったんだろう?そんな奴忘れちゃいなよ。」
師匠が突然いなくなり、その直後現れたのがアッシャーだった。
『僕の兄妹になるかい?』そういって手をさしのべてきたアッシャーをクレナイは今でも覚えている。
ク「あ!またリズに色々話したでしょう?!ダン!」
ふと、クレナイは機密情報をダンが少年に言っていたことを思い出す。
ダ「いやいやいやいや、待て!」
クレナイのことばを聞きブチッと音を立てて魔法を使おうとしたガルファをダンは必死で止めようとする。
ダ「言ったのはリズとその子だけだっ!あいつなら信用できる!」
ガ「何度言ったら分かるのですか?例え『慧眼』だとしても、相手は一般人です。」
リズとは週刊『マジック』で編集長をする傍ら自らも特ダネを探しに行く女性記者で『詮索』と言う魔法と鋭い洞察力を持つため『慧眼のリズ』と呼ばれている。
ガチャン
不意に会議室のドアの開く音がした。
魔「失礼する。」
アー「ヤッホー、今帰ったよ!」
入ってきたのは先ほど帰還した二軍騎士長のアーサーと副騎士長の魔理沙、そして魔導騎士の鎧を着た男が入る。
アーサーが白と金色の鎧をガチャガチャと鳴らして席に着こうとする。
ク「お帰り。」
ダ「無事で良かったぜ!」
魔「これくらい、どうと言うことはない。」
魔理沙の返しに「素直じゃないなぁ」とアーサーは笑い席に着いた。
ガ「さぁ、今回の結果をはなしていただこう。」
アー「うん!いいよ。えーと、」
魔「アーサーは黙っていろ。私が説明する。」
魔理沙がアーサーをとめ今回の件について話し始めた。
魔「この度、第五エリアにて暴れていたとみられる獣人(ビーストラー)を十人発見。呼びかけに応じず魔法の使用による攻撃を確認したため捕らえた。」
ジ「その獣人(ビーストラー)達はどこにいる?」
魔「ヒロさんに持たせている。」
と魔理沙は目で自分の隣にいる男の魔導騎士を見た。
?「呼び捨てでいいって言ってんのに。」
アー「まぁ、元教育監だから。なかなか使えないよ。」
そういうもんか?と言って男、ヒロ・アンダーグラウンドは席から立ち上がった。
ヒ「捕らえた獣人(ビーストラー)は此処です。」
ヒロは腰のケースのようなものからカードを取り出す。
カードには獣人(ビーストラー)の絵があり、妙にリアルで今にも動き出しそうだった。
会議室のドーナツ型のテーブルの中心に置いた。
そして、
ヒ「我札よ従え(カード・アムレート)!呼び起こせ、獣人(ビーストラー)カード!」
魔法呪文を唱えるとカードを中心に魔方陣が転回されまばゆい紫の光を放つ。
すると、カードの中から鎖で縛られた
獣人(ビーストラー) が飛び出してきた。
ジ「こいつらが今回の捕虜となった獣人(ビーストラー)か?」
ヒ「はい。」
獣人(ビーストラー)達は何か叫んでいるようだが口パクのように何も聞こえない。
ガ「声を奪ったのか?」
魔「あぁ、うるさかったので呪詛を施した。」
見たようでは男が6人、女が4人。
その中には子供もいるようだった。
戦闘での傷だろうか手錠と鎖に抵抗したあと以外にも傷が見える。
ヒ「我が札よ従え(カードアムレート)。閉じよ。」
ヒロがカードに向かって再度命令すると今度は獣人(ビーストラー)達を紫の光で包みカードの中に納めてしまった。
ヒ「では、牢に入れておきますのでよろしくお願いいたします。クレナイ様。」
ヒロはそういって地下牢へと足を進め、クレナイも「行きます。」と言って席を立つ。
ア「じゃあ、行くかぁ。」
アー「あれ?アッシャーさんも行くの?」
クレナイがする尋問と聞いていたのにアッシャーも立ち上がったことを不思議に思ったアーサーが尋ねる。
ア「当たり前だろ。クレナイが怪我でもしたら大変だ。」
さも、当然のようにアッシャーは返し、席を立ったクレナイの後を追う。
ル「気をつけてね!」
ルシェル姫はブンブンと椅子の上から手を振った。
それに気づいたクレナイはニコッと笑って手を振りつつ歩いて行った。