魔法使いの旅
□銃声の行き先
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恐怖という余韻を残し銃声は姿を次第に消していった。
薄らにルルの母親と思われる獣人(ビーストラー)は目を開ける。
しかし、予想されたような惨劇は無かった。
ルル「ママ!みてみて!」
その声に目を伏せた他の獣人(ビーストラー)達も顔を上げる。
すると、そこにはクレナイの膝の上ではしゃぐルルとその足下に粉々になった手錠と足枷があった。
獣人達「っ!!!」
獣1「どー言うつもりだ⁉殺すんじゃないのか!」
獣人(ビーストラー)達が唖然とするなか、一人が声をあげた。
ク「どういうつもりもなにも、殺すなんて一言も言ってないですし。私はただ苦しいだろうと思ってはずしてあげただけですよ。」
クレナイはさも当然のように言ってのけた。
獣1「くっ!」
獣2「待て、俺らが壊せなかった錠をどうやって砕いたんだ‼」
獣人(ビーストラー)達はクレナイのような小娘が自分たちでも困難だったものを壊せるはずがないと思っているようだ。
獣3「これは封印魔法などがいりくんでつくられているように見える。」
獣人(ビーストラー)がいった通り、この錠は国の封印魔法、防御魔法に特化した魔導騎士が10日間、魔法をかけ続けたもので、そう簡単には壊れない。
ア「クレナイは、血のにじむような訓練を重ね日々、努力している。そんな錠なんざ朝飯前だ。」
当たり前だろう、と付け加えてアッシャーは言った。
獣5「…なぁ、こいつら。信じてみても良いんじゃないか?」
獣1「ハッ?!おま、何言って!」
獣2「俺も、話してみるだけいいと思う。こいつらなら助けてくれるかもしれない。」
口々に呟かれる意見にリーダー格の獣人(ビーストラー)がため息をついた。
獣1「分かった。話す。」
獣人(ビーストラー)達は覚悟を決めたように静かにクレナイを見つめた。