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□どれだけ貴方を想っていても 。
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そうだな、先ずは出会いのきっかけからだろうか。
否、出会ったきっかけなんて梟谷学園に入って、それでバレー部に入って、なんていう簡単なものなのだけれど。
中学三年の時、自分が行こうとしたいた学校の下見をしようと高校生の大会を見に来ていた。その学校は去年、都予選で二次予選で敗退をしていたちょっと強いような弱いような、そんな高校。
近いしバレーもそこそこだし、そこでいいかと適当に決めたようなものだったが、見ていれば少しだけその高校のバレープレイは自分には合わないなと薄々気付いてきた。
その時だっただろうか。ドパァンッという聞いたことのないような音。それと同時に視界に入るバレーボール。自分が見ていた高校の隣のコートでアップをとっている高校から聞こえた音だった。
胸に書いてあったのは梟谷。聞いたことがある。春校に出場を決めている高校で、強豪校。
その時にとある人物のプレーに魅入られた。手に持つパンフレットを捲るとその人物は1年で。それに心底驚いた。背番号はまだ2桁で、スタメンではなかったけど強豪である梟谷学園のベンチにいる実力。
また彼が飛んだ。
すんごい綺麗なフォーム。まるで翼が生えたような。
びりびり、と何かが背中に走る気がして、鳥肌がたった。
" もし、あの人にトスをあげることが出来たのなら、どんなトスをあげようか "
彼は高いトスが得意なようだった。
「…俺、梟谷に進路変える」
そんなことを言えば友人は心底驚いたような顔をしたが、その後に頑張れ…?と言ってくれた。
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「赤葦京治です。色の赤に難しい方の葦に京を治めるって書きます。セッター希望です。宜しくお願いします」
深々を頭を下げれば拍手が起きる。自己紹介をすれば拍手をするなんてこと高校生でもあるんだ。
「…色の赤に?難しいほうのあし?脚?けいをおさめる…?わかんね、赤脚刑事?」
「ばか、くさかんむりの葦だよ!」
「なんだよそれわっかんねー!キラキラネーム?!覚えらんねーからあかーしな!」
俺が憧れた人物はバカだったようだ。
名は木兎光太郎。まさに光っていう人物で、彼の周りはきらきらした何かがちかちかと俺の目を射していた。
に、と笑いながら俺を見る彼はとんでもなく眩しくて、思わず目をつぶる。
もしかしたらその時点で好きだったのかもしれない。
「あかーし、これから宜しくな!!」
「…はい、宜しくお願いします」
これが俺と木兎さんの出会い。