造花の向日葵

□始まりは終わり、終わりは始まり
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「…私のせいね…」

暗闇の中、私はベッドの上で小さく呟いた。

目を閉じれば、瞼の裏に映るのは、血の海に沈む金色…

私がいなければ、こんな事にもならなかった。

私がいなければ…

「っ…あ、あぁ…」

悲しくて、涙が止まらなくて…

辛くて…

どうにもならなくて…

小さく膝を抱えて俯いた。

人前ではこんな顔を見せられないから…

私は、笑ってないと…

笑わないと…

あれ?どうして私は笑わなきゃいけないの?

どうして?

頭の中がぐちゃぐちゃになっていく…

思考が止まり、考えていた事が流れるかのように消えていく。

私が大切にしていた物も、溢れだしていく…

嗚呼…

このまま、私も流れて消えてしまいたい…

そうすれば、もう…

暗闇の中、何かが光って…

光源などない部屋に光がさす。

「…?」

見上げると、そこには黄金の光の粒が浮かんでいた。

「!?」

その粒は凄い勢いをつけていきなり、私の体に入ってくる。

その瞬間、言葉に出来ない様な感覚が体を巡って行く。

嗚呼、私死ぬのかしら?

「…暖かい」

粒は私の体に吸収されると消えた。

すると、何故か何処かに向かわなければいけないような気がして…

誰かに呼ばれているような気がして…

この部屋を出なければと思った。

私は身支度を済まして、窓から飛び降りる。

扉から部屋を出れば人に勘づかれてしまう。

危険だと分かっているのに、何故だか何でもできるような気がした。

私は地面に着地すると、我が家を一瞥する。

もう二度と、帰ってこないだろうと思った。

全てを置いてでも、向かわなければいけないと本能が悟っていた。

「さよなら…そして、ごめんなさい…」

私は呟くと、門を出てレベイユの街へと歩き出した。



全てはこの日から始まった。
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