暗殺少女
□第10話
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「おい中谷!暗殺バトミントンやろうぜ!!」
杉野君が私を誘ってくれた。
最近は皆、結構色んなことに誘ってくれて嬉しい。
皆に言われたのは、前までの私は控えめでいい子過ぎて深窓の令嬢扱いされていたからなかなか誘えなかったとか…。
(深窓の令嬢って……)
なんだか、そんな過大評価されて少し気恥しい思いもある。
「わ、私もやっていいの…かな」
「なーに言ってんだ!!
お前運動神経いいからさ、皆お前をチームに入れたくてさっきからずっとジャンケンしてんだ」
杉野君が指さした校庭を見ると、確かに燃えるようにジャンケンをしていた。
「行ってきなよアーニャ!
私はここでアーニャの勇姿を見ておくよ!」
カエデちゃんはガッツポーズで言った。
「ほら、行くぞ!」
杉野君が先に走り出す。
私もその後を小走りで追った。
「行ってらっしゃいアーニャ〜!
ケガしないようにねー!」
カエデちゃんが手を振りながら見送ってくれたので、私も一旦後ろを向いて走り出した。
ジャンケンの結果、私は杉野君チームに入れてもらえることになった。
莉桜ちゃんは、寂しそうに私の名前を呼んで抱きついてきた。
────最初は、正直莉桜ちゃんが少し怖かった。
見た目ギャルだし…。
だけど、E組に馴染めずにいた私に最初に話しかけてくれたのは莉桜ちゃんだった。
それから少しずつ、クラスに溶け込めるようになったのだ。
(なんだか懐かしいなぁ…)
「早くやんないと時間終わるぞ?」
私が莉桜ちゃんの腕のなかでそんな事を思っていると、杉野君が言った。
「お互い頑張ろうね、アーニャ」
莉桜ちゃんは負ける気はないから!と言ってコートに向かった。
私もナイフを杉野君から受け取ってコートに入り、試合が開始した。
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「中谷そこだ!!」
「う、うん!!────やぁ!!」
杉野君が上げてくれたボールを私は思いっ切り刺突した。
が、あまりにも勢いがありすぎて地面が少しえぐれてしまった。
「「「「…………」」」」
「あ、あはは……」
私はえぐれた地面を焦った顔で見つめる皆を誤魔化すように笑った。
力を出すと、たまにこうなってしまう。
皆がケガしないように気をつけなきゃ…!
「し、刺突だから3点ね」
磯貝君がそう言うと、得点係の陽菜乃ちゃんが点数を入れる。
11-12
巻き返した。
「ア、アーニャはとりあえず1回点数入れたらしばらく外野行ってよっか…」
「う、うん…そうする……」
莉桜ちゃんがそう言ったので、確かに…と思い私はコートの外に出た。
いつの間にか烏間先生とビッチ先生がこちらを見ていた。
……ビッチ先生、心なしか表情がくらい気がするんだけど、気のせいかな…?