鬼狩少女
□第4話
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「ここが、お父さんの言ってた町…」
森を抜ける頃には日が昇っていた
あの後、一度も振り返る事なく、父と母が無事でいてくれる事を願ってただひたすら走った
草履の裏が擦り切れたって走った
夢中で走って抜けた先には、賑やかな町が広がっていた
「まずは、お父さんの知り合いを探して…」
「それから…」と彼女が道に悩んでいると、背の高い男とぶつかった
「わっ…ご、ごめんなさ……あれ…」
「?」
その男は怪訝そうに月下を見た
それもそのはず。血塗れの足に、その体に見合わぬ大きな体得物を背負ってこちらに首を傾げているのだ
だが、月下には彼に聞かなければならない事があった
それは彼が、父が仕事に行く時に着ていた服と同じ服を身につけていたからである
「なんだ…お前…」
「あ、あの…!……“虚舟織夜”という男を知っていますか…?」
「……!」
男は短く細い眉毛をピクリと動かした
「お前…織夜の…そうか……あいつは…」
何かぶつくさと呟いていた男だったが、急に月下に背を向け歩き出した
「ええぇ!?」
突然歩き出した男に、月下は戸惑いを隠せなかった
(こ、この人…何か理解した振りをして、実はわかってなかったの…!?
お父さんと同じ服着てたからそうだと思ったんだけど…違かったのかな…)
そんな事を考えて立ち尽くす月下に、男は振り向いた
「ここまでよく頑張って来たな…着いてこい」
「!!!」
口角を上げて言う男に、月下はバッと顔を上げ、急いで着いて行った
その男、名を火吉貞時(ひよしさだとき)という