暗殺少女
□第1話
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「なっ…何なんだよテメェ…迷惑なんだよォ!!」
寺坂君が泣きながら言う。
「いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか…
迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよォ!!」
「迷惑?とんでもない
君達のアイディア自体はすごく良かった」
先生の触手が渚君の頭の上に乗った。
「特に渚くん
君の肉迫までの自然な体運びは百点です
先生は見事に隙を突かれました」
「…………!!」
「中谷さんも…」
今度その触手は私の頭の上に乗った。
(意外と気持ちがいい……)
「渚君が自爆するとわかった時、一瞬で飛び込みました
それはとても危険な行為です」
「ご、ごめんなさい……」
私は両手を握りしめてうつむいた。
───いつものクセ。
つい、反省する時はそうなってしまう。
申し訳なくて、いたたまれなくて。
どこかに隠れてそのまま消えてしまえたら、どれだけ楽なのだろう。
しかし、それが出来ないからうつむく。
なるべく、顔を見られないように…。
泣きそうになってしまうから。
でも、先生は触手は私の頭をなでた。
「?」
「ですが…渚君を守ろうという事は大変素晴らしいです
これからも、仲間を大切に思う気持ちを忘れずに、無茶はしないように行動してください」
(……泣きそう)
私はうなずいて席に戻った。
───ダメだ。
怒られても、慰められても、泣きそうになってしまう。
泣くのは弱いこと……。
そんなこと、誰に言われた訳でもないのに、自分で思ってしまう。
私は、私なんかがみんなと同じように泣いてはいけないのだと。
私は弱いから……。
心≠ェ弱いから……。
私は拳を握りしめた。
(大丈夫、泣くな、泣くな……)
そう考え、無理やり心を落ち着かせ、涙を止める。
「ただし!寺坂君は渚君を、渚君は自分を大切にしなかった
そんな生徒は暗殺をする資格がありません!」
「……!!」
「人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう
君達全員それが出来る力を秘めた暗殺者だ
暗殺対象である先生からのアドバイスです」
先生は机の上で小さく出ている煙を触手で消した。
(笑顔で、胸を張る……)
はたして、私にそれは出来るのだろうか。
笑顔は出来る。困り眉はなかなか治らないけど……。
ただ、胸を張れない。自分に自信がないから。
(いつか、E組のみんなといれば、胸を張れるようになれるかもしれない)
私は、密かに決意をするのだった。
「……さて問題です渚君
先生は殺される気などみじんも無い
皆さんと3月までエンジョイしてから地球を爆破です
それが嫌なら君達はどうしますか?」
渚君は拳を握りしめた。
「…その前に───先生を暗殺します」
「ならば殺ってみなさい
殺せた者から今日は帰って良し!!」
私達は殺し屋
標的は先生
「殺せない…先生…あ「殺せんせー」は?」
殺せんせーと私達の暗殺教室
始業のベルは明日も鳴る
(暗殺者……)