暗殺少女

□第2話
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「アメリカでも月の爆発の話題ばかり
もっと楽しい一面記事が欲しいですねぇ」

「毎朝HR前は校舎裏でのくつろぎがあいつの日課
マッハ20でハワイに寄って買ったドリンクと英字新聞で

お前の情報通りだサンキュー渚!」

「うん頑張ってね杉野」

「おう!百億円は俺のモノだ!!」

「あ…ふ、二人ともおはよう……」


たまたま木の陰に隠れて殺せんせーを覗き見している杉野君と渚君を見つけたんだけど……。


「うわぁ!?な、なんだ…中谷か…」


杉野君は目が飛び出そうなほど驚いていた。

何だか申し訳ない。


「ご、ごめんなさい…!…それ……」


杉野君、手にボールを持ってる。
BB弾をボールに埋めて…。

渚君のあのメモの情報で殺せんせーがここにいるって調べたんだ……。


(すごいなぁ……。私なんて今まで1回も自分から暗殺しようなんて思わなかった…)


『中谷さんは積極性に欠けますねぇ』


過去に、殺せんせーにそう言われたことがあった。

だけど、なかなか積極的になれないのだ。
それはもう性格的な問題なので仕方がないような気がしなくもない…。

こんなの、言い訳にしかならないのだろうけど……。


そんな事を考えていると、杉野君はキレイなフォームでボールを投げた。


「おはようございます
渚君、杉野君、中谷さん」

「「「…………!!!」」」


いつの間にか後ろに……。


「さ、あいさつは大きな声で!!」

「…おはようございます殺せんせー」

「えっ、えぇ!?」


杉野君はとても驚いている。


「……お、おはようございます……」

「中谷さんはもっと大きな声であいさつ出来るといいですねぇ」

「ご、ごめんなさい……」


怒られちゃった……。
いや、確かに声が小さい私も私だけど…。


「……。それはそうと杉野君」


殺せんせーは多分私を見ていたけど、杉野君に向き合った。


「先生の弱点・対先生BB弾をボールに埋め込むとはいいアイディアです
これならエアガンと違い発砲音もない

ですが…

先生にボールが届くまでヒマだったし…
直に触ると先生の細胞が崩れてしまう」


殺せんせーは手に持っている物を上げた。


「…そんな訳で
用具室までグローブ取りに行ってきました」

「「「…………!!!」」」

(よ、余裕だ……!)

「殺せるといいですねぇ…卒業までに
さ、HRの時間ですよ」

「……はい」


杉野君、落ち込んでる……。

私は、こんな時に慰める言葉を知らない。
慰める言葉なんて、正解があるのかも分からないけど……。
大丈夫だよ!≠ネんてそんな、ありきたりな言葉じゃダメだということ。
それは、わかっている。

なんか……今さらだけど……。


「私って、何ができるんだろう……」

「アーニャちゃん?」


ぽつりと呟いた言葉は届いてなかったが、渚君は心配そうに振り向いた。


「早く行かないとHR始まるよ?」

「……うん」




私は……────
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