暗殺少女

□第4話
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「わ、あれが例の殺せんせー?
すっげ本トにタコみたいだ」


そう言いながらカルマ君が殺せんせーの方へ向かう。

カルマ君は去り際に私の頭の上にポンと置いていった。

「!?」

その瞬間、頬が一瞬熱を持ったように思えた……。

(今の…何だろう……)

私は独り首を捻るが、もう1度カルマ君を視界に捉える。

カルマ君は殺せんせーと対峙していた。


「赤羽業君…ですね
今日が停学明けと聞いてました
初日から遅刻はいけませんねぇ」


殺せんせーは顔にバツを作って言う。


「あはは、生活リズム戻らなくて
下の名前で気安く呼んでよ
とりあえずよろしく先生!!」

「こちらこそ
楽しい1年にして行きましょう」


手を差し出したカルマ君に、殺せんせーも手を差し出した。

……カルマ君、なんだか前よりも丸くなった…?
いや、丸くなったというのは体型の話ではなく、性格の話で……って、誰に説明しているんでしょうか、私は。


しかし────


ドロォ

!?

と、溶けた!?

カルマ君と握手した殺せんせーの手が、一瞬にして溶けたのだった。


「!」


驚くの殺せんせーに、すかさずカルマ君は第2撃をくり出す。

しかしそれは、殺せんせーに当たることはなかった。


「…へー、本トに効くんだ対先生ナイフ
細かく切って貼っつけてみたんだけど」


カルマ君の手を見ると、確かに対先生ナイフが指や手のひらに細かく貼られていた。


「けどさぁ先生
こんな単純な「手」に引っかかるとか…

しかもそんなとこまで飛び退くなんてビビり過ぎじゃね?」


「な、渚…」

「う、うん…殺せんせーにダメージを与えたヒトは初めてだ……」


カエデちゃんもいつの間にか私の隣に立ってその様子を見ていた。


「殺せないから「殺せんせー」って聞いてたけど
あッれェ、せんせーひょっとしてチョロイひと?」


先生、思いっ切りカルマ君の挑発に怒っちゃってるよ…。


「渚、アーニャ、私E組来てから日が浅いから知らないんだけど
彼どんなひとなの?」

「……うん僕達は1年2年が同じクラスだったんだけど」


そう言ってこっちを見た渚君に私も頷く。


「2年生の時にね、続けざまに暴力沙汰で問題を起こして停学になっちゃったの…」

「このE組にはそういう生徒も落とされるんだ
でも…今この場じゃ優等生かも知れない」

「…?どういう事?」


渚君の言葉にカエデちゃんは首を傾げて私の方を向いた。


「凶器とか、騙し討ちの「基礎」なら…
多分、カルマ君が一番なんじゃないかな?」

「そうなんだ…」


カルマ君の方を向いたカエデちゃんと一緒に、私もそっちを見る。


(逃げないでよ殺せんせー「殺される」ってどういう事かおしえてやるよ)


カルマ君が帰ってきて嬉しい気持ちと、不安な気持ちが胸の中で混ざりあって、変な気分になった。
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