暗殺少女

□第5話
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ブニョンッ

ブニョンッ

さっきから殺せんせーがブニョンブニョンうるさいです。

今、小テスト中なのに……。


「さっにから何やってんだ殺せんせー?」

「さぁ…壁パンじゃない?」

「ああ…さっきカルマにおちょくられてムカついてるのか」

「触手が柔らかいから壁にダメージ行ってないな」

「ブニョンブニョンうるさいよ殺せんせー!!
小テスト中なんだから!!」

「こ、これは失礼!!」


私の考えをそのまま代弁してくれたひなたちゃんに感謝します。


「よォ、カルマァ
あのバケモン怒らせてどーなってもしらねーぞー」

「またおうちにこもってた方が良いんじゃなーい」

「…」


寺坂君達がカルマ君を挑発してる…。


「殺されかけたら怒るのは当たり前じゃん
寺坂、しくじってちびっちゃった誰かの時と違ってさ」

「な、ちびってねーよ!!
テメ、ケンカ売ってんのか!!」


寺坂君は机をドンと叩く。

(あ、あらら……)

カルマ君もカルマ君で挑発し返しちゃってるし…

だけどまあ、そういうひとだから仕方ないのかな…?


「こらそこ!!
テスト中に大きな音立てない!!」


……ごめんなさい先生。
それは自分の触手に言ってください。


「ごめんごめん殺せんせー
俺もう終わったからさ、ジェラート食って静かにしてるわ」

「ダメですよ授業中にそんなもの
まったくどこで買って来て…」


ジェラートを見た殺せんせーは、はっとした顔をした。


「そっ、それは昨日先生がイタリアで買ってきたやつ!!」

(((おまえのかよ!!)))


「あ、ごめーん
教員室で冷やしてあったからさ」

「ごめんじゃ済みません!!
溶けないように苦労して寒い成層圏を飛んで来たのに!!」


……そんなに苦労するなら、現地で食べればよかったのでは…。


「へー……
で、どーするの?殴る?」

「殴りません!!残りを先生が舐めるだけです!!」

「……」


ズンズンとカルマ君の方へ向かう先生を渚君が哀れな目で見ている……。

そりゃそうだよね、大人気ないっていうか、先生気がないっていうか…。

しかし、また1歩カルマ君に近づいた殺せんせーの足は何かによって溶けた。

床を見ると、そこには対先生BB弾が巻いてあった。


「あっは───まァーた引っかかった」


カルマ君は対先生用の銃を取り出し発砲したけど、殺せんせーには避けられてしまった。


「なんどでもこういう手使うよ。授業の邪魔とか関係ないし
それが嫌なら…俺でも俺の親でも殺せばいい」

「……」

「でもその瞬間から、もう誰もあんたを先生とは見てくれない
ただの人殺しのモンスターさ」


カルマ君はベチャッとジェラートを殺せんせーの服に付けた。

あ……なんだか残念。

あわよくば、イタリアのジェラートを一口でもいいから食べてみたかったんだけど…。


「あんたという「先生」は…
俺に殺された事になる

はいテスト、多分全問正解」

「!」

「じゃあね「先生」〜、明日も遊ぼうね!」


そう言ってカルマ君は教室を出ていってしまった。


────そう、カルマ君は頭の回転がすごく速い。

今だって、先生が先生であるためには超えられない一線があるのを見抜いた上で、殺せんせーにギリギリの駆け引きを仕掛けてる…。

(カルマ君……)

私は校舎から立ち去るカルマ君の後ろ姿を窓から見るのだった。


先生が先生であるため、

人間が人間であるため、

私が私であるため、

そのためには……
























どうしたらいいんだろう…。
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