暗殺少女
□第7話
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「毒です!!飲んでください!!」
クラスの皆が、愛美ちゃんのその言葉を聞いて盛大にコケた。
「……奥田さん
これはまた正直な暗殺ですねぇ」
「あっ…あのあの
わ、私皆みたいに不意打ちとかうまくできなくて…
でもっ化学なら得意なんで真心こめて作ったんです!!」
殺せんせーに毒を差し出したまま愛美ちゃんが言った。
……なんていうか、それで飲む人はいるのでしょうか…。
私が言うのも何なんですが、もしそれで飲む人がいたら、その人はバカなんだと思いますけど…。
「それはそれは、ではいただきます」
(((飲んだ!!)))
殺せんせー!?毒って言われて飲むおバカさんは殺せんせーでした!!
「!!こ…これは…」
殺せんせーがガクガクと震えだす。
すると、殺せんせーの後頭部にツノが生えた。
「この味は水酸化ナトリウムですね人間が飲めば有害ですが、先生には効きませんねぇ」
「……そうですか」
「あと2本あるんですね、それでは」
「は、はい!」
また、殺せんせーは次の毒を飲み込んだ。
「うっ、うぐぁっ、ぐぐぐ…」
今度は羽が生えました……。
というか、なぜこの先生は芸術的な進化を遂げているのでしょうか?
「酢酸タリウムのアジですね
では、最後の一本」
無駄に豪華な顔になった殺せんせーは、また一気に飲み干した。
なんだか、ここまでの進化過程を見て、続きがとても気になっちゃう…。
次の進化が気になってしまいます…。
────真顔。
え?真顔?
え?ここまで来て真顔ですか?
「王水ですねぇどれも先生の表情を変える程度です」
「……はい…」
愛美ちゃんは、シュンとして落ち込んでいた。
なにか、言葉を掛けられたらいいんだけど…。
あいにく、私は理科が苦手だから変に口を出すのも悪いだろうし…。
「てか先生顔薄っ!!」
「顔文字みてーだな!!」
その皆の言葉を聞いて、我に返る。
確かに。何に例えたらいいんだろう。
ただ。丸と丸と線……みたいな……。
とりあえず、皆が言っているようにとてもうすーい顔をしています。
「先生の事は嫌いでも
暗殺の事は嫌いにならないで下さい」
「「「いきなりどうした!?」」」
無表情でどこかで聞いたことのあるセリフを殺せんせーは言う。
しかし、殺せんせーの顔は戻ってしまった。
「それとね奥田さん
生徒一 1人で毒を作るのは安全管理上見過ごせませんよ」
「…はい。すみませんでした…」
「放課後時間あるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
「…は、はいっ!!」
え、先生と一緒に先生を殺す毒薬を作るんですか……。
「……暗殺対処と一緒に作る毒薬ねぇ」
「……後で成果を聞いてみよう」
「……そ、そうだね…愛美ちゃん、上手くいくといいな…」
私と渚君とカエデちゃんは、3人で顔を見合わせながらそんな事を話すのだった。