暗殺少女

□第8話
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休み時間、殺せんせーを暗殺しようと皆で先生を囲んでいた。

……頭にサッカーボールまで乗っけちゃってるし。


「殺せんせー!!」


イリーナ先生が手を振って校舎から出てきた。


「烏間先生から聞きましたわ
すっごく足がお速いんですって?」

「いやぁ それほどでもないですねぇ」


殺せんせーはまたデレデレだ。


「お願いがあるの
一度本場のベトナムコーヒーをのんでみたくて
私が英語を教えてる間に買ってきて下さらない?」

「お安いご用です
ベトナムに良い店を知ってますから」


両手を組み上目遣いでイリーナ先生に頼まれた殺せんせーは颯爽と空の彼方へ消えてしまった。


「…で、えーとイリーナ…先生?
授業始まるし教室戻ります?」


丁度チャイムが聞こえ、磯貝君がイリーナ先生に声をかけた。

けど、イリーナ先生はタバコに火をつけ言った。


「授業?…ああ、各自適当に自習でもしてなさい

それと、ファーストネームで気安く呼ぶのやめてくれる?」


イリーナ先生はタバコの煙を吐く。


「あのタコの前以外では先生を演じるつもりも無いし

「イェラビッチお姉様」と呼びなさい」


「「「…………」」」


あまりにもイリーナ先せ…イェラビッチお姉様の雰囲気が代わりすぎて…まるで別人みたい……。

皆も困惑してる…。



「…で、どーすんの?ビッチねえさん」

「略すな!!」


軽く言ったカルマ君にお姉様は振り向いて指を指し訂正した。

……さすがカルマ君…みんな動揺してるのにあんな冷静で…すごいなぁ…。

私はひとり、感動するのだった。



「あんた殺し屋なんでしょ?
クラス総がかりで殺せないモンスタービッチねえさん1人で殺れんの?」

「…ガキが。大人にはね 大人のやり方があるのよ

潮田渚ってあんたよね」

「?」



お姉様が渚君の前に立つと、突然キスをした。


「なっ……!!?」「ふぁ!?!?」


カエデちゃんと私は同時に声を発す。

私は自分の両手で目を覆い隠した…少しだけ、ほんの少しだけ気になるので指の間から覗く。


渚君はどんどんHITされていき、30HITくらった。

ディ、ディープなキッスですか!?



「アーニャもあんなキスがいいの?」

「えっ?…えぇ!?」


突然カルマ君が横に来てそんな事を言ったので私は両手を顔から離す。


「べ、べべべべつにそんなんじゃっ…」

「ふーん。…両手で隠してる割に覗き見てるなーって思ってさ」


カルマ君はイタズラっ子のような笑を浮かべた。

そしてイリーナ先生の方を見る。


(し、心臓に悪いこと言うなぁカルマ君…)

私はひとり、また胸の動悸を抑えるのに必死になっていた。


「あと…少しでも私の邪魔したら殺すわよ」


先生はいつの間にか来た男達が持っていた銃を受け取って言った。

……い、いつの間にこんな展開に!?

渚君を見ると、手の甲で口を隠していた。

私の横を通った先生と一瞬目があったような気がする…。

そして、先生はとてもいい匂いがした。
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