暗殺少女

□第10話
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また英語の時間が来た。

私達は今日もビッチ先生に教えてもらえなくて静かにしている。

先生はイライラしているのか、先程から端末を力強く叩いている。

まあ、理由は分からなくもないけれど…。

おそらく、この間殺せんせーにお手入れされてしまったから、プロの暗殺者としてのプライドが許せなかったのだろう。

私達は、お手入れされたらなんとなく次はがんばろう!って思えるけど、やはりプロは違うみたい……。



「あはぁ 必死だねビッチねえさん
あんなことされちゃプライドズタズタだろうね〜」



カルマ君がそんな事をいうが、ビッチ先生には届いていない。



「先生」

「…何よ」


一番前の席にいる磯貝君が話しかけて、初めて気がついた。


「授業してくれないなら殺せんせーと交代してくれませんか?
一応俺等、今年受験なんで…」


その言葉を聞くと、先生は持っていた端末を教卓に雑に放った。


「はん!あの凶悪生物に教わりたいの?
地球の危機と受験を比べられるなんて…
ガキは平和でいいわね〜

それに聞けばあんた達E組って…
この学校の落ちこぼれだそうじゃない

勉強なんて今さらしても意味無いでしょ」



ビッチ先生のその言葉で、皆の顔が陰った。

皆の雰囲気が変わったのに気付かず、先生は続ける。


「そうだ!!じゃあこうしましょ

私が暗殺に成功したらひとり五百万円分けてあげる!!
あんたたちがこれから一生目にする事ない大金よ!!

無駄な勉強するよりずっと有益でしょ
だから黙って私に従い…」



ビシッ…

黒板に当たった消しゴムが跳ね返って教卓の上に落ちた。


「……出てけよ」


誰かがボソッと呟く。

そこでやっとビッチ先生は気が付いたのだ。

クラス皆の怒りに。


「出てけくそビッチ!!」

「殺せんせーと代わってよ!!」


皆が一斉に文房具や紙くずなどを先生に投げ始める。

当たってはいないみたいだけど……。


「なっ…なによあんた達その態度っ
殺すわよ!!」

「上等だよ
殺ってみろコラァ!!」


「そーだそーだ!!」


カエデちゃんが紙を掲げる。


「巨乳なんていらない!!」

「そこ!?」

「わ、私だって……!!」


私は胸の前で拳を作って強く握りしめる。

私だって皆に負けてられない!!

この前殺せんせーに言われたんだ…私は、自分のことをもう少し主張していいって…!!

これが、本当の私を皆に話す勇気の練習だと思ってえば!


私は深呼吸した後、もう1度深く息を吸いこんだ。



「私達は───美人にはダマされません!!
た、たとえどれだけ胸が大きくてもおっぱいでもボインボインでも……そんなのに私達惑わされない───!!」

「アーニャちゃん皆と言ってることズレてるよ!?」


渚君はすごい勢いで振り返った。
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