暗殺少女

□第12話
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「「「「さて、始めましょうか」」」」



…………何をですか?


今、私達の目の前には分身した殺せんせーがいる。



「学校の中間テストが迫って来ました」
「そうそう」
「そんなわけでこの時間は」
「高速強化テスト勉強をおこないます」


それぞれ皆の机の前に分身殺せんせーが並ぶ。

その頭にはハチマキが巻かれていて、私の所に来た殺せんせーは理科のハチマキをしていた。


「先生の分身が1人ずつマンツーマンで」
「それぞれの苦手科目を徹底して復讐します」


せめてひとりで喋ってください…分身も喋っていて何が何だか……。

私は目の前にいる笑顔の殺せんせーをチラリと見た。


「下らね…ご丁寧に教科別にハチマキとか
……なんで俺だけNARUTOなんだよ!!」


寺坂君のその声を聞いてそちらを見ると、確かに殺せんせーはNARUTOのハチマキを付けていた。

……ひとりだけ特別製…。


「寺坂君は特別コースです
苦手科目が複数ありますからねぇ」


そういえば最近思った事…それは、殺せんせーはどんどん速くなっているという事。


「それでは中谷さんはこの間の復習からですね」

「は、はい……」

「ここは……」


国語6人、数学8人、社会3人、理科5人、英語4人、NARUTO1人……

クラス全員分の分身なんて…
たしかこの間までは3人くらいが限度だったはずだったのに……。


「中谷さん、この間より理解力が上がっていますねぇ
もしかして、自宅学習をきちんと行っているのですか?

ですが、ひっかけ問題はやはり苦手なようですね…

この問題の解き方を覚えたら次に進みましょう」

「はい……ヒッ!?」


私は突如目の前でぐにゃりと顔の形を変えてしまった殺せんせーに驚き、悲鳴を上げてしまった。

渚君も同じように驚いていた。

……こ、怖すぎます!突然顔を歪めないでください!
しかも、先生の場合表情が変わるんではなくて、形から変わってしまうからなお驚きが増してしまいます!!


「急に暗殺者しないで下さいカルマ君!!
それ避けると残像が全部乱れるんです!!」

「意外と繊細なんだこの分身!!」


そ、そこまで繊細な造りにしなくても…。

私はやっと顔の形が元に戻った殺せんせーを見た。


「でも先生 こんなに分身して体力持つの?」

「ご心配無く」


渚君がそう聞くと、殺せんせーは外を指差した。


「1体外で休憩させていますから」


そ、それはもっと疲れるのではないでしょうか!?

分身していて疲れないかという質問の答えになっていません!!

……あ、でも殺せんせーの場合はそれが答えなのかな…。

なんだか最近、殺せんせーだから、という言葉でなんでも片付けられる気がしてきてならない。


だけど、殺せんせーは生徒一人一人の事を考えてくれるとても言い先生だ。

宿題も皆それぞれで内容が違うし…。

だけど、そんな殺せんせーが1年後には地球を滅ぼしてしまう…

そう考えると少し寂しい気持ちになった。
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