暗殺少女

□第13話
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「さらに頑張って増えてみました
さぁ授業開始です」


……え?

殺せんせーは昨日に引き続き、私達の高速強化テスト勉強を行ってくれるようだけど…

ざっと見ただけじゃ数え切れない人数になっていた。

それに、理科が苦手な私にはきちんとフラスコなどの実験用具まで用意されている。


「おや!中谷さん!この応用問題も解けるようになりましたか…!

ほんとはこれで範囲終わるんですが、先生やる事ないと嫌なのでもっと先に進みましょう!
ほかの教科も!!」


そう言って先生はさらに教科書をめくった。

……それにしても先生…なんだか残像がいつもより雑になってるし、それに…。

私は三人いるうちの右の残像に目を向けた。

もはや殺せんせーではなくドラえ〇んである。


「…どうしたの?殺せんせー?
なんか気合い入りすぎじゃない?」

「んん?そんな事ないですよ?」


カエデちゃんが聞くと、殺せんせーは涼しい顔で答える。

とてもそういう風には見えないのだけれど…。





......................................................



授業終了のチャイムが鳴ったと同時に、殺せんせーの分身…残像が消え、教卓に寄りかかってうちわや扇子で仰ぎ息を切らした殺せんせーが1人残った。


……やっぱり、無理してたんだ。

私はなんだか少し胸が苦しくなって胸の前で手を組んだ。

殺せんせーにはあまり無理をして欲しくない。

殺せんせーにというか、誰にでもだけど…。


「……さすがに相当疲れたみたいだな」

「なんでここまで一所懸命先生をするのかね〜」

「……ヌルフフフ」


前原君と岡島君が殺せんせーを見て言うと、殺せんせーは笑った。


「全ては君達のテストの点を上げるためです
そうすれば…」


…………


《殺せんせ〜!おかげで良い点取れたよ!!》

《もう殺せんせーの授業無しじゃいられない!
殺すなんてできないよ!!》

殺せんせーを尊敬する生徒の眼差し。

《先生!!私達にも勉強を教えて♡》

評判を聞いた近所の巨乳女子大生。



…………



「…となって殺される危険も無くなり先生には良い事ずくめ」


……巨乳女子大生はいらないと思うのですが。


「…いや、勉強の方はそれなりでいいよな」

「…うん なんたって暗殺すれば賞金百億だし」

「「「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしさ」」」

「にゅにゃッ
そ、そういう考えをしてきますか!!」


皆が口を揃えていうと、殺せんせーは焦り出した。


「俺達エンドのE組だぜ殺せんせー」

「テストなんかより…暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」

「……なるほどよくわかりました」

「?何が?」


教卓に手をついて言った殺せんせーに木村くんが応えた。


「今の君達には…暗殺者の資格がありませんねぇ」


殺せんせーは顔にバツをつくる。

初めて見たかもしれない…こんな怖い雰囲気の殺せんせーは。


「全員校庭へ出なさい
烏間先生とイリーナ先生も呼んで下さい」


そう言うと殺せんせーは教室を出ていってしまった。


「…?急にどうしたんだ殺せんせー」

「さぁ……さいきなり不機嫌になったよね」
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