暗殺少女
□第17話
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「ここなら騒いでも誰も来ねぇな」
私は廃墟のような場所に連れられていた。
ソファーやバーカウンターがあるので、ビル等の場所では無い事は確かだ。
「遊ぶんならギャラリーが多い方が良いだろ
ちゃーんと記念撮影の準備もな
楽しもうぜ…台無しをよ」
そう言って男達はバーカウンターの方へ行った。
なんとかして、この危機を脱しなければ…。
少しでも脱出の糸口があるれば…。
先ほどよりも震えが収まってきた。
…大丈夫、私なら大丈夫。きっとできる。
せめて、せめてこの2人だけでも助けられればあとはどうだっていい。
この2人の無事が最優先だ。
だけど、私がこの2人を助ける時はきっと、私の秘密もバレてしまうことになる。
…怖い。
皆に避けられるかもしれない、軽蔑されるかもしれない。
皆が────いなくなってしまうかもしれない。
それが怖い。
私は、後一歩を踏み出せずにいた。
「…神崎さん、そういえばちょっと意外
さっきの写真、真面目な神崎さんもああいう時期あったんだね」
「…うん」
カエデちゃんの言葉に有希子ちゃんが頷き、少し俯いて話し始めた。
「うちは父親が厳しくてね、良い学歴良い職業良い肩書ばかり求めてくるの
そんな肩書生活から離れたくて名門の制服も脱ぎたくて
知ってる人がいない場所で格好も変えて遊んでたの
…バカだよね、遊んだ結果得た肩書は「エンドのE組」…もう自分の居場所がわからないよ」
「…そんなこと、ないよ」
「…え?」
気づいたら口に出していた。
こういう時、自分の言葉を伝えるのだって勇気が必要だ。
これが、私の一歩…小さくても、少しずつでもいい。
先生達は待っててくれるって言っていた。
だから、少しずつでもいいから自分から前に進むんだ。
自分を変えられるのは、自分しかいないのだから。
私は小さく息を吸い込んだ。
「有希子ちゃんは、居場所がわからないって言ったけど、居場所ならあるよ
私がいる。私達がいる。E組の皆がいる。
有希子ちゃんはきっと、一人でずっと辛かったんだよね…これからは、辛い時は辛いって言って、私が全部聞くから、だから…居場所がわからないなんてそんな悲しいこと言わないで…?」
「っ…アーニャちゃん…ありがとう
本当はね、E組である事に少しだけ後ろめたさを感じていたの…
だけど、私には皆がいる…」
有希子ちゃんはそう言うと、晴れ晴れとした笑顔でもう一度私にお礼の言葉を言った。
その光景を見ていたカエデは、アーニャが少しずつでも前向きになろうとしているのだと思い、自然と笑顔になっていた。
「いい話してるとこ悪いんだけどよ〜」
リーダーが目の前に来てしゃがんだ。