暗殺少女

□第7話
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「…で、その毒薬を作って来いって言われたんだ」

「はい!!理論上はこれが一番効果あるって!!」


愛美ちゃんは笑顔で液体が入ったフラスコを私達に見せてくれた。


「毒物の正しい保管法まで漫画にしてある」


渚君が手にしている本を見る。


「確かに……相変わらず殺せんせーはすごいね……」

「きっと私を応援してくれてるんです
国語なんてわからなくても私の長所を伸ばせばいいって」


そんな事を話していると、殺せんせーが教室に入って来ました。


「あ、来たよ
渡してくれば?」

「はい!!」



愛美ちゃんは先生の元へ行ってフラスコを差し出した。


「先生これ……」

「さすがです…では早速いただききます」


殺せんせーは毒をごくごくと飲み出した。

え!?待ってください先生!!

それは、それは先生にとって毒なのではないのですか……!?


「……ヌルフフフフフ、ありがとう奥田さん
君の薬のおかげで…先生は新たなステージへです」


先生の体がドクドクと脈打つ。


「…えっそれってどういう……」


「グオオオォォォォォオオオ」


「「「「!!」」」」



先生は唸り声をあげると発光しだした。



が、



光が無くなって先生のいた位置を見ると、先生は溶けていた。

さながらバブルスライムのようだ。

────正直かわいいです。


((溶けた!!!))


「君に作ってもらったのはね、先生の細胞を活性化させて流動性増す薬なのです」


そう言うと、先生は素早くメグちゃんの引き出しの中へ入った。


「液状ゆえに どんなスキ間も入りこむ事が可能に!!

しかもスピードはそのままに!!
さぁ殺ってみなさい」



殺せんせーはドド ドドと隙間を抜けたりして超高速移動をしている……。

……無理です。

皆も銃は取り出しているけど、あまりのスピードに撃てないでいる。


「ちょっ…無理無理これ無理!!
床とか天井に潜り込まれちゃ狙いよう無いって!!」

「なんだこのはぐれ先生!!」


「奥田さん…先生あの薬毒って言ったんだよね」

「……だっ…だましたんですか殺せんせー!?」


愛美ちゃんは教室の天井の隅でつーんとした顔をしている先生へ言った。


「奥田さん 暗殺には人を騙す国語力も必要ですよ」

「えっ…」

「どんなに優れた毒を作れても…
今回のようにバカ正直に渡したのでは暗殺対象に利用されて終わりです

渚君、君が先生に毒を盛るならどうしますか?」

「え……うーん
先生の好きな甘いジュースで毒を割って…
特製手作りジュースだと言って渡す…とかかな」


今度は床に移った殺せんせーが言う。


「そう 人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある
言葉に工夫をする必要がある
上手な毒の盛り方
それに必要なのが国語力です

君の理科の才能は将来皆の役に立てます
それを多くの人にわかりやすく伝えるために…
毒を渡す国語力も鍛えて下さい」


殺せんせーの姿は元に戻った。


「はい!!」


「あっはは、やっぱり暗殺以前の問題だね〜」


カルマ君が言った。


……たしかに、そうかもしれない。

毒をそのまま渡すのも、暗殺以前の問題だった。

だけどきっとこの先、愛美ちゃんは大丈夫だよね。

今回も何も出来ない自分を責めたくなったが、自分にはきっとみんなができない事ができる……。

そう信じよう。


私はそう思って殺せんせーを見た。
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