深夜の酒宴 [文スト]

□其ノ玖
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昨日、国木田さんはボロボロになった敦くんと鏡花ちゃんを連れて帰って来てくれた。

本人は何も云わなかったけど、ちょっと安心した顔してたのが印象的だったな。

鏡花ちゃんの処遇……どうなるだろうな……。まあ、社長なら心ある判断をしてくれるとは思うけど。

「おはよ〜御座います」

そんなことを考えながら、私がガチャッとドアを開けると、事務所が何やら騒がしい。

「……どうしたんですか?」

何処からどう見ても鏡花ちゃんを着せ替え人形にして遊んでいるように見える。

「おはよ、麟。」

「与謝野さんまで…」

私は苦笑しながら輪の中心に向かった。

輪の中心には可愛らしいフリルの入った給仕(メイド)服を着た鏡花ちゃんが輪の中に立って居た。

……

あ……めちゃくちゃ可愛い……

谷崎くんが携帯を取り出し始めたので私も便乗した。なんか目の保養になる気がする。

「おはよう御座いま……」

後ろの方からドアの開く音と、敦くんの挨拶が聞こえた。

「ちょっとくるっと回ってみて〜」

それを無視してナオミちゃんがハートを飛ばしながら云うと、鏡花ちゃんはくるっと空中で数回回転した。

「「可愛い〜」」

ナオミちゃんに合わせる様に歓声を上げた。
フワッと回る鏡花ちゃんは本当に可愛かった。

「何やってるんですか…」

敦くんが輪の方に近づいてきた。

「だって彼女何着てもすっごく似合うんだもの〜」

そう返す谷崎くんに敦くんは更に困り顔だ。

「いや、そこではなくて……国木田さァん」

困った敦くんが国木田さんに助けを求めるが

「そんな目で見るな。俺も止めたのだ」

諦めたようにパソコンに何か打ち込みながら答えた。一応国木田さんも咎めていたらしい。さっきまで空気だったから気づかなかった。

「大丈夫なのかなぁ……」

後ろの方で心配そうな敦くんに谷崎くんが話しかけていた。

「…やっぱり拙いかな?」

「皆さんが善くても乱歩さんなんかこの手の規則は気にするんじゃ……」

そう心配そうに云う敦くん。敦くん…まだ乱歩さんの座右の銘聞いたこと無いのかな…?

基本的に乱歩さんは自分が楽しければ、大抵の事は気にしない。
本人曰く、『僕が良ければすべてよし』

うん、絶対気にしないでしょ

私がそんな風に考えていると、乱歩さんが勢いよくドアを開けて機嫌よく入ってきた。

「ただいま〜」

紙袋を抱えていて、中には乱歩さんが好きな駄菓子達が詰まっている。

あ、これは絶対気にしてない
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