深夜の酒宴 [文スト]
□其ノ拾参
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今日は鏡花ちゃんの初任務の日で、敦くんと鏡花ちゃんは二人出ていたのだがどうやら何か面倒なのに巻き込まれたらしい。
私が嫌々太宰さんと確認しに行った時には、救援に行った筈の国木田さん賢治くんも一緒にボロボロになって倒れていた。
「!
みんな!!」
私は慌てて近づいたが、一人足りないことに気づいた。
「……鏡花ちゃんが居ない」
「マフィアも殺られてる様だ。これは姐さんの部隊だね…。」
太宰さんがグングン奥に進み、そこには着物姿の見慣れない女性と黒服に銃を持ったポートマフィアの構成員が転がっていた。
私は社長に連絡を入れてから、異能を発動して全員を少しずつ公園の入口へ運ぶ。
万が一こんな状況で敵に見つかると拙いし、一般人に見られても色んな意味で拙い。
「……太宰さん、長時間の時間停止は私にも結構負荷かかるんですから運ぶの早く手伝って下さい。」
私は敦くんを何とか背負いながら太宰さんに云う。
「…って太宰さん、その人も連れて行くんですか?」
太宰さんが連れて来た女性を見て私は驚く。詳しくは知らないが、彼女もポートマフィア幹部の一人だった気がする。
「勿論。
ポートマフィアの動向を知る為には必要だよ。」
なんだか愉しそうな顔で答えるが、生憎胡散臭すぎて本当に愉しそうには見えない。
……
云ってることには一理あるが……
「ハァ…まあ、おまかせします」
私は諦めた様に答えて異能を解除した。
ドッと疲労が押し寄せる。
限界近くまで異能を展開したため、身体の倦怠感は並ではない。
ペタンとへたり込んだ私を見ながら
「あらら…
麟ちゃんしっかりしてくれ給えよ。一人で四人は流石にキツいよ?」
「判ってますよ……」
よいしょっと身体に鞭を入れ立ち上がる。
もう少し労わって欲しいものだが、そうもいかない様だ。
全員を車に乗せ、探偵社まで走らせる。あまり車の運転はしたくなかったのだが、太宰さんに任せるよりはマシだろう。
「与謝野先生、お願いします。」
探偵社についてからは、もう流れ作業の様に怪我人を次々に連れて行った。
「ひぎゃああああぁぁぁ……あっ」
自分の席で座っていると治療による、凄まじい断末魔のようなものが聞こえてくる。
……ご愁傷さまでした。
私は前回の自分の治療を思い出しながら、静かに手を合わせた。