深夜の酒宴 [文スト]

□其ノ拾肆
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「ミィちゃぁん、この騒動が済んだら直ぐに迎えに行きまちゅからね〜」

……

私とナオミちゃんは2人で、春野さんがパソコンを見ながらニヤニヤするのを障子の影から見つめる。

振り向いた春野さん。

「なな…ナオミちゃん!?椎名さん!?」

「春野さん?」

ナオミちゃんの一言で、慌ててキーボードを叩く春野さん。

「し、仕事をしていたの!本当よ!私達事務員だって探偵社の一員ですもの!」

パソコンに表示されていた可愛らしい三毛猫の写真が、大量のデータ・報道のウィンドウによって隠される。

「! 横浜の商港で客船爆破事故?これって真逆組合の船?」

ナオミちゃんが春野さんが開いたニュースの一つに目を止める。
私は報道を見ながら少し考えて

「多分そうだと思うよ。襲ったのはポートマフィアの…多分攻撃特化の異能者……芥川みたいな感じのやつかな。」

「次は探偵社が狙われるかも……」

不安そうな顔をする春野さん。ナオミちゃんもまた不安そうだった。

「兄様は大丈夫かしら……」

不安気なナオミちゃんに何か声を掛けようとするが、春野さんが私よりも早かった。

「大丈夫よ、ナオミちゃん」

すると、ナオミちゃんはにぃっと笑って

「ミイちゃんも大丈夫でちゅからね〜」

「……それは忘れて」

「春野さんドンマイです。」

私は笑って春野さんの肩にポンと手を置いた。

あっちはまあ大丈夫だと思うけど、万が一でも一斉に攻撃されると無事じゃ済まない。

もし何かあった時には、しっかり援護できる様にしておきたいな。

うーんと考えていると、春野さんがツンとほっぺたを啄く。

「わっ…何ですかいきなり……」

「椎名さん、思い詰めたみたいな顔してらっしゃいましたよ?」

私の問いにナオミちゃんが答えた。少し心配そうな顔で覗き込まれる。

「え…あ、ごめんね。ちょっとしっかりしなきゃって思っただけだよ。」

私が苦笑しながら、ナオミちゃんを見た。ナオミちゃんの方がよっぽど不安だろうに、何やってんだ私……

「よし、心配させちゃったお詫びに今日の晩御飯は私が美味しく作ってあげる。デザートもつける!」

ぐっと立ち上がって高らかに宣言した。

「「おお〜」」

二人が拍手しながら歓声を上げた。

「じゃあ、取り敢えずお菓子でも出してお茶しよう!」

そう云ってから二人を巻き込んでお茶の用意が出来た頃

ピピピピ

私の持っていた仕事用携帯が鳴った。

なんだろう……嫌な予感……

私は二人から少し離れてボタンを押した。
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