重き流れのなかに [文スト]
□武蔵野への贈り物
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私は独り、部屋で堪えきれずに笑みを浮かべる。
恐らく、私のこの姿を見れば探偵社の誰もが通報すべきか迷うだろうなと心の片隅で思った。
本日は8月29日。
夜もとっぷりと更け、探偵社の窓から外を見ると、空は月が雲の隙間から薄らと見えていた。
実は、明日は国木田さんの誕生日なのである。
この日は私が楽しみにしている一大イベントが有るのだ。
今日は緊張と高揚感で中々寝付けないだろうな。
私は部屋の隅に準備している贈呈品を脇目に、また笑いが込み上げてくる。
この日のために一週間しっかり準備したのだから、必ず全て成功させてみせる!
そう胸に固く誓い、探偵社を出た。