深夜の酒宴 [文スト]

□其ノ肆
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私は朝から乱歩さんの姿を探した。すると、探し人がまた机に腰掛けてラムネを右手に寛いでいた。

「そうそう、乱歩さん。敦君が見当たらないんですが何処に行ったか知りませんか?」

私が朝から見つけられなかった敦君の事を訊いてみる。出勤はしてる筈なんだが、見当たらない。
全員に能力を黙っていたことや、昨日能力を渋って怪我させてしまったことを事を謝っていたのだが、敦くんだけまだちゃんと謝れていないのだ。

そこに沢山の資料を抱えた国木田さんが事務所の方に入ってくる。

「アイツならさっき下ですれ違ったぞ。“もう探偵社は安全だ”とか言って」

……もう安全?
探偵社はもう安全…?確かマフィアの狙いは敦君っていってたな

あ、まさか…。
探偵社に被害が来ないようにどっかに離れて……?

そう思い至り、敦君を探しに出ようと鞄を探していた時

バン!!

「何ッ!?」

国木田さんが真っ先に反応する。
物凄い音が鳴り探偵社のドアが破られた。中からサングラスをかけた黒服の集団が入ってくる。

あー…また襲撃かぁ……今回は国木田さんだっけ?良かった〜こっちに来たなら敦君側は多分大丈夫だな。

そんな事を考えている間に黒服集団が銃を構える。真ん中の片眼鏡の初老の男性がリーダーらしい。どうやら、何かしらの異能力者のようだ。

「貴様達は?」

真っ先に国木田さんが問うとリーダー格の男性が静かに答える。

「失礼、探偵社なのに事前予約を忘れていたな。それから叩敲(ノック)も…」

「ポートマフィアの…黒蜥蜴。」

国木田さんが睨みつけて云った。

「ま、大目に見てくれ、用事はすぐに済む。」

男性がポケットから片手を出して、他のマフィアの人間に指示を出す。一気に攻撃を始めようとするマフィア勢。

私は小さく溜め息を付いてペンダントを取り出す。もう探偵社以外に漏らさなない様にさえ出来れば、能力を出し渋る必要は無い。

「異能力…『永遠なる序章』」

銃弾が飛び交い、マフィア達が一歩踏み出した所で時間が止まる。
もう能力バレちゃったし、今更どうこうするもんでもないしね。

取り敢えず、飛び交う銃弾は全部ペンチを使って空中で壊しておく。破片が飛ばないように念の為空中の弾丸全てにタオルをかけておいた。マシンガンは全て奪って探偵社の隅の方に束ねておく。

そのまま後は机の陰に隠れて能力を解除した。うわぁ……軽く5分はかかっちゃった。もう能力50分も使えないじゃん……

バンバンと空中で弾丸が弾けた。タオルで抑えたとはいえ、かなり大きな音だ。
一瞬両者共に何が起こったか分からない様な顔をしていたが、スグに理解した探偵社側がすぐさま反撃に転じた。

国木田さんは片っ端から向かってくる敵を放り投げているし、賢治君はそーれ!と掛け声をあげながら、銃を奪われた黒服達を山にしていく。
奥では与謝野さんが近づく敵をみんな纏めてタコ殴りにして、乱歩さんはラムネを飲みながら机に腰掛けていた。

「止めろ!!」

凄い勢いで敦君が事務所に帰ってきた頃、バンッと大きな音を立てて、ボスらしき男性を国木田さんが投げた所だった。

もう賢治君は山になった黒服の上で座っているし、奥では与謝野さんも片付いて乱歩さんと談笑している。
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