短編

□思いは桜に込めて
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桜舞う春。
今日は立海大の卒業式。
まるで卒業生たちを祝うように
空は青く、鳥も鳴いている。

「ああ、俺たちもとうとう卒業か」

テニス部部長の幸村が桜を見上げ
隣にいる同じクラスの北条に言う。

「うん、そうだね。なんかあっという間だったね」

どこか寂しげに答える北条。
それはそう。幸村はこのまま高校へ
北条は、エスカレーター方式を使わず
外部の高校へ行くからである。

ふと、幸村は北条に目をやる。
北条はずっと空を見上げていた。
その顔は楽しみと不安、そして悲しみが
混じった今の季節には合わない色をしている。







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