小説
□7 jhxv
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僕は部屋に入ろうとする彼を呼び止めた。溜まった不満を言う為に。
「ヒョン!」
「ん?」
「僕だけじゃなかったんですか?」
「なにが?」
当然のようにキョトンとした顔で僕を見る。あの時、舞い上がっていた僕の気持ちを何とも思ってないようだ。
「何って。この間はジョングガとキスしてたし、その前はシュガヒョンの部屋に行く所見ました。どうして、僕は?」
「そっか、ごめんね。」
真面目な顔で謝ってくるが、そんなんじゃ僕の不満はおさまらない。別に僕達は付き合っている訳じゃないけど、僕以外のメンバーにも同じ様にコミュニケーションを取る彼が、僕は許せない。
「...他に行くのやめてください。」
「束縛?可愛い事言うね。」
「真剣に言ってるんです!」
まだ僕の事をからかうみたいに彼は話す。まだ僕の気持ちが分からないんだ。
「分かったよ、これは特別だからね?」
僕の手を引いて彼は自分の部屋に入った。彼は扉を閉めると、僕の顔を両手で包んで唇に優しくキスをした。柔らかいその感触は前よりずっと長くて、伝わる彼の温度が僕の心に沁みていく感覚があった。
「テヒョンだけ特別なの、伝わった?」
「...はい。」
いつの間にか感じていた不満は無くなって、また彼の事を許していた。不思議な魅力がある彼のキス。そして、特別という言葉ひとつで簡単に満足するなんて、僕は本当に単純だ。
-End-