短編
□Sweet candy
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つい先日、久しぶりに集まった春日部防衛隊メンバーとの飲み会で、見事に泥酔してしまった風間くんを自宅まで送り介抱した。
そして今日、風間くんのマンションに呼び出された俺はこの前のお詫びだと、彼からあるものを手渡された。
「風間くん、何これ?」
「キャンディボックスだよ!色んな味のキャンディが入ってる外国産の高級モノさ!」
「ほうほう」
一見、キャンディよりもキャンディボックスのほうがメインに見えるような、風間くんの言った通りなんとな〜く高そうなものだった。
「どうだ?カラフルで綺麗だろう?」
貰った俺よりも買ってきた彼のほうがウキウキしながら、クリアガラスのボックスの中から適当に一つキャンディを取る。
「あ!これいちご味だ!美味しいぞしんのすけ!」
包みを開けてキャンディを口の中に含んだ風間くんは、まるで子どものような笑顔で瞳をキラキラさせた。
「いちご味そんなに美味しいの?」
「美味ひいよ!しんのすけもどれか食べひゃら?」
口にキャンディを入れた状態で喋るのは難しいのか、やや舌足らずになっている風間くんが可愛い。
「ん〜とぉ、じゃあオラはどれ食べよっかな〜」
迷うふりをしながら、隙を突いて風間くんに口付けをした。
「んんんっ!?」
案の定、風間くんは驚いて俺の胸を両手で押し返そうとしてきた。
思ったとおりの反応に、逆にもっと困らせてしまいたくなってくる。
角度を変えるだけのキスから、ごく自然に舌を入れこませると、風間くんの身体がビクっと震えた。
震えた肩を両手で支えながら舌先で中を愛撫し、ゆっくりと時間をかけて風間くんの甘い口内を堪能する。
「んんうっ!」
唇を離そうとしてきた風間くんの顎を固定すると、口に含んでいるキャンディを舌ごと絡め取った。
甘い...
脳内がとろけるような甘さだ。
身体中で風間くんだけを感じる。
濡れた音をさせながら口の中のキャンディを舌で器用に奪い取ると、風間くんから顔を離した。
「はぁっ....おいっしんのすけ!!いきなり何するんだ!!」
目尻にうっすら涙を浮かべている風間くんが、苦しそうな呼吸のまま俺の肩をポコポコ殴ってくる。
「あぁん、いたぁ〜いっ。だってぇ、普通の味じゃもの足りないでしょ〜?」
風間くんの口の中にあったはずのキャンディを自分の口内でコロコロと満足気に転がした。
「....それ、どういう意味だよ?」
「オラはね、風間くんごと味わいたいの。トオルちゃん味のキャンディなんて、興奮するでしょ?」
「なっ.......!?」
自分の唇をひと舐めし風間くんに向かって笑いかけると、耳まで顔を真っ赤にさせた彼が恥ずかしそうに俯いた。
(風間くんのほうがいちごみたいだ、なんて)