短編

□狂愛
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視線を感じる。

そう思うようになったのは少し前の事だった。



何をするにもどこを出歩くにも、誰かに見られている気配がするのだ。

だが後ろを向いても、勿論誰もいない。

初めは単なる気のせいだろうとあまり気にしていなかったのだが、最近ではその視線や気配がさらに酷く感じるようになってきていた。




誰なのか特定は出来ないが、この数日間で唯一分かったことがある。

それはその視線。
不思議なことに殺気や殺意は全く感じられず、変わりにあるのは気持ちの悪い、不快な視線だということだった。


つまり、僕は誰かにストーカーされているのかもしれないのだ。


一体誰なのだろうと考えに考えたのだが、心当たりのある人物は一人も思い浮かばなかった。

姿を見せない分、僅かな苛立ちを覚えると共に不安も徐々に膨らんでいく。
だからといって自分から確かめにいく勇気なんて僕にはなかった。

イタズラでこういうことをしているのなら、直ちに辞めていただきたい。
よりによって僕なんかをつけるなんて、物好きな奴もいるものだ。



丁度よく、今日はしんのすけの家で勉強をする予定になっている。
その時にストーカーの件について彼に相談してみよう。
しんのすけの事だからきっと何か手を打ってくれるはずだ。


そう決心した僕は早速しんのすけの元へと急ぐことにした。
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